人間はクセがあるから面白い
『なくて七癖』という言葉がある。どんな人間でも、最低で7つのクセがあるというもの。
完璧な人間なんて存在しない。そもそも人間を評価するうえで『完璧』という基準があいまい。どんな人間が『完璧』であるかについて、明確に答えることができる人はいないだろう。もし答えられたとしても、その人の独断と偏見による基準でしかない。
そんな不完全に見える人間のクセが、うまく機能すれば魅力となり、バランスを崩せば変人と呼ばれることになるだけ。それらを総合して『個性』というのだろうね。
だから強いクセがある人ほど、誰よりも魅力的であり、誰よりもウザい。でもそんな人間のほうが、実は面白いんだよね。そしてクセのある人間が複数いると、そこには物語が生まれる。この映画なんか、まさにその代表例だと思う。
『L.A.コンフィデンシャル』という1997年のアメリカ映画。かなり久しぶりに観たけれど、やっぱり面白い映画だった。
この写真の4人が、それぞれにクセもの。4人ともロス市警の刑事。
ジャック・ヴィンセンス(ケヴィン・スペイシーが演じている)は、ドラマのアドバイザーをしている。雑誌記者から賄賂をもらうことで、著名人のスキャンダル暴露に協力している。
バド・ホワイト(ラッセル・クロウが演じている)は、DVの父親に母親を殺された過去を持つ。だから女性への暴力が許せない。それゆえDV男に接すると、ボコボコにしてしまう。正義感は強いけれど、違法な捜査に手を貸している。
エド・エクスリー(ガイ・ピアースが演じている)は、成績優秀な堅物刑事。父も刑事だったが殉職している。誰よりも正義感が強く、ひそかに父を殺した人間を探している。
ダドリー・スミス(ジェームズ・クロムウェルが演じている)は、この3人の上司にあたる。常に捜査の指揮を取る。
という4人が個性をぶつけ合うことで、ロス市警の腐敗が明らかになるという物語。もっとも身元が綺麗なのは新人のエドだけれど、彼は陰謀に巻き込まこれて無実の人間を射殺してしまう。
他の刑事はそれなりに腐敗しているけれど、最高に腐り切っている刑事が上司のダドリーという設定。映画の前半は善人として行動するけれど、実はすべての陰謀における黒幕。
だから他の3人は力を合わせて、ダドリーの陰謀を暴こうとする。この過程がめちゃめちゃ面白くて、この3人が最高にかっこいい。この4人の演技を見るだけでも値打ちのある作品だと思う。
ラッセル・クロウもケヴィン・スペイシーも若いよね。だけどクセのある役を完璧に演じている。誰が悪役なのかを知っていても楽しめる作品。だから観たことがない人でもオススメだよ。
ただし物語の展開が早く、人間関係と陰謀が複雑。だから画面から目を離さないようにしていないと、事情がわからなくなるかも。
あっ、そうそう。まだ若くて美しいキム・ベイジンガーの姿も目の保養になるよ〜〜!
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