公共交通の無料化はいいかも
人間の行動形態をつかむのに、社会実験はとても有意義。より幅広く実験を行うことで、進むべき方向性が見えてくる。
今年の9月にすごい社会実験が熊本で実施されていた。
県内バス全無料化「1世帯月1000円負担で可能」 熊本で1日やってわかったこと
今年の9月14日の土曜日。なんと熊本県内の路線バス、市電などを(JRなど一部の鉄道と、高速バスなど一部のバス路線は対象外)、誰でも1日無料で乗車できるという試みが実施された。県内大手のバス事業者である九州産交が企画したそう。
この結果がかなり興味深い。記事から抜粋する。
『当日のバス、電車の利用者数は約25万人と、ふだんの土曜日の2.5倍になりました。サクラマチのほか、老舗百貨店や大きな商店街が並ぶ中心市街地の来訪者数は1.5倍に増加。とりわけランチタイム(12時台)には約2倍を記録しました。九州産交グループでは、「無料の日」の経済効果を約5億円と推計しています』
たった1日で経済効果が5億円だよ! そのうえ自家用車の利用も減り、渋滞の長さが59パーセントも減少するという結果が出ている。これってめちゃすごくない?
1日限りの無料企画なので、多少は間引いて考える必要はあるだろう。それにしても公共交通が無料になるだけで経済が動くのは確実。これは他の都道府県でも検証する価値があると思う。
もしこれを常態化するとしたら、どれだけ費用がかかるかも試算されている。熊本県内の全世帯数で計算すると、1世帯あたり月1000円を負担すれば常時無料が可能となる。
経済効果が高まれば、自治体の税収も増える。だから税金からの予算も多少は回せるだろうから、さらに県民の負担を減らすことも可能だろう。この程度の負担で完全無料になるのなら、本気で考えていいような気がする。
ただし問題は多い。例えば兵庫県で考えてみよう。神戸市内に住んでいる人と、他の市町村に住んでいる人では公共交通の利用度がまったくちがってくる。神戸市民にとって無料化はありがたいけれど、自家用車がメインである兵庫県の中部や北部の人ちは不公平感を覚えるだろう
さらに生活保護世帯もあるので、負担額に対する格差が問題になってくるよね。高齢者の家族で外出する機会がない人には、たいしてメリットを感じないだろう。実際にやるとすれば、様々な問題が出てくると思う。
だとしても魅力的。移動手段が無料になるだけで、人の動きがより活発になるのは明らか。そして人の動きは経済を活性化するエネルギー源になる。問題は多いだろうけれど、この結果を単なる実験で終わらせるのはもったいない。真剣に導入を検討する都道府県が出てこないかなぁ。
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