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高羽そらさんインタビュー

『死』の取扱方法

『死』の取扱について、ボクが厳格に守っていることがある。

 

それはフィクションとノンフィクションの境界線をあいまいにしないこと。自分が扱っている『死』が、どちらに属するものかを常に意識している。言葉にすれば簡単に見えるけれど、これはかなりストイックな感覚が必要になる。

 

わかりやすい例でいえば映画。『ミッション・インポッシブル』のような映画は大好き。今年に公開される『スターウォーズ』の最終作も絶対に観にいく。これらの映画はめちゃめちゃ面白いけれど、共通しているものがある。

 

それは『死』がとてつもなく『軽い』こと。

 

主要な登場人物の生死は、それなりに重厚的に扱われる。だけど役名のないようなスパイや兵士はどうだろう? 主人公たちによって、いとも簡単に殺されてしまう。もしこうしたフィクションの世界にノンフィクションの感覚を持ち込むとどうなるか?

 

わずか数秒しか画面に登場せずに殺された人物には、愛する家族がいるかもしれない。主人公たちと同じようにこの世に生を受け、決して少なくない時間を過ごしてきた。そんな人の人生が一瞬で終わってしまう。そんなことを考えていたら、映画なんて絶対に観られない。

 

これは小説を書いていても同じ。ホラー作品なんかを書いていると、必ず命を落とす人物が出てくる。テロのようなシーンだったら、大勢の人が死ぬこともあるだろう。そんな人それぞれに人生があるだろうけれど、小説を書いているときにそこまで考えていたら前に進めない。

 

だけどもしニュースでテロ事件を知った場合、それは映画とはちがう。その『死』は限りなく重い。誰かの人生が確実に終わっているんだから。そこから連鎖する苦悩や悲しみは果てしない。こんなときに映画を見ている感覚でいると、その人たちの「死』が軽いものとなってしまう。

 

この『死』に対する軽さと重さは、簡単に人間の心を行き来してしまう。だからこそ注意しなくてはいけない。自分がいまどんな『死」を見ているのかを自覚しないと、映画や小説を楽しむことも、実際に生きていた人の命を慈しむこともできない。

 

だからボクはある種のスイッチを持っている。スイッチはひとつあればいい。フィクション専用のスイッチがあれば、映画を観るとき、小説を読んだり書いたりするとき、そのスイッチをオンにすればいい。

 

つまりそれ以外のときは、『死』の重さを自覚している自分でいたい。そう思っている。そしてそのために、ボクは自分の死の瞬間をイメージすることが多い。

 

あの世があるかどうかに関係なく、『死』は家族や友人たちとのつながりを絶ってしまう。伝えたい愛や感謝の想いがあっても、それが届くことはない。名もない映画の登場人物のように、一瞬で命を失うことだって現実にはある。

 

そうして死のシミュレーションを意識することで、「死』の重さを忘れないようにしている。50代も半ばを過ぎると、その日は決して遠くないからね。フィクション用のスイッチをうまく使うことで物語を楽しみつつ、自分の『死』、すなわち『生き方』について考え続けたいと思っている。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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