こうなるだろうと思っていた
人間の本性は危機感を覚えたとき露骨になる。それは自分たちの身を守ろうとする本能だろう。
新型コロナウイルス騒ぎが始まったとき、絶対に起きるだろうと思っていたことがある。それはアジア人に対する差別。
人種による差別が不当であることは、現代社会で認知されている。ただ本音は絶対にちがう。人種間の差別意識は根強い。特に白人の人たちが有色人種の人たちに抱いている優越感のようなものは、隠していてもにじみ出してしまうもの。
中国発の新型コロナウイルスは、欧州の人たちが潜在意識に抱いているアジア人に対する偏見を引き出すだろうと想像していた。そして実際に起きている。
新型コロナウイルス 伊の国立音楽院「すべての東洋人へのレッスン中止」
最初の記事はイタリアのローマでのこと。国立音楽院がすべての東洋人へのレッスンを中止したという記事。感染を防ぎたいという気持ちはわかる。だけどイタリアで音楽を学んでいる人が、ウイスルを運んでくることは考えにくい。
なのに東洋人、つまり中国人、韓国人、日本人等については、学校が用意した医師の診察を受け、再登校を認めるまでレッスンを中止して病欠扱いにすることを発表している。もちろん強い反発が起きている。もし感染を防ぐのが目的なら、全学生について診察を受けさせるべきだろう。
続いての記事はフランスでのこと。元々フランス人はアジア人に対して差別的な対応を取ることで有名。レストランに行っても、アジア人を白人たちとちがうエリアに案内するようなことが現代でもあるらしい。だから今回のウイルス騒動で差別的な出来事が起きても不思議じゃない。
この記事によると、同じ職場で働いている人なのに、同僚に近寄るなと言われたアジア人がいたらしい。あるいは子供がエレベーターに乗るのを断られた、という親の発言も紹介されていた。
おそらく表に出ていないことも含めたら、同じようなことが世界中で起きていると思う。最初にも書いたけれど、これは人間に備わっている危機回避の本能だと思う。それにプラスして、心の底に潜んでいる差別意識が表面化しているんだろう。
だけどこれは同じアジア人である日本人だって同じ。神戸は外国人の人が多く、ボクが暮らしている六甲は観光客の人も大勢訪れる。先日に歩いていると、前方からマスクをしている男性が近づいてきた。携帯電話で話しているのは明らかに中国語。
失礼だとは思いつつ、ボクは自然とその男性を避けるような行動をとった。おそらくここ数日、同じようなことを経験している人は多いと思う。まるで中国の人をバイ菌扱いしているような態度だけれど、無意識にやってしまう。だからイタリアやフランスの人たちを非難する気持ちにはなれない。
同様のことが、東北の震災のあとにもあった。福島県から避難してきた人たち、特に子供たちに対して差別的な言動や行動を取るという話が尽きなかった。
こうした差別を防ぐのは、ただひとつ。それは正確な情報と知識を学ぶこと。デマやいい加減な記事にふり回されるから、怖がる必要のないことで他人に対して差別的な行動をとってしまう。エイズのときもそうだった。
できるだけ正確な情報を集めるようにして、冷静に対応できるようにしたいと思う。
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