経歴詐称は犯罪か否か
ボクは転職が多いので、面接を何度も受けている。だけどそれ以上に、面接をした回数のほうがはるかに多い。
なぜかどの職場でも新人の採用面接を任せられた。だから書類選考も含めて、数えきれないほどの履歴書に目を通している。そのとき、いつも思うことがあった。
ここに書かれていることは本当だろうか?
ボクが在籍していた職場は中小企業ばかりなので、転職者の採用にあたって履歴書の内容を確認することはない。医師免許のように資格を要する仕事なら提示を求めることもあるだろう。だけど事務職や工場作業、あるいはアルバイトの採用に関してそこまでチェックしない。
基本的に履歴書に書かれていることを全面的に信用する。だから嘘が書かれていても、それを確認することはまずない。資格を持っていると履歴書に書かれている場合、その前提で面接をする。例えば経理事務の募集をかけたとき、履歴書に簿記の資格を持っていると書かれていたらピックアップするだろう。それが嘘だとしても。
そういえば経理事務の募集なのに、「簿記の資格は持っていません」と面接で堂々と話した人がいた。正直な人だなぁ、と思いつつ心の中で笑いこけたことがある(ボクの妻です)。
でも普通は自分に不利なことは隠そうとするもの。その気持ちに制御がきかなくなると、経歴詐称ということが起きるんだろう。
大転職時代、わが社に入社してきた「経歴詐称男」の恐ろしすぎる正体
年功序列等の古い労働体質が見直されるようになってきて、実力主義を採用する会社が増えた。そのことによって転職も増えている。少しでも優秀な人材を採用するため、人材紹介のプラットフォームを利用する企業が増えてきた。
このリンク先の記事は、そのようにして採用した人物がとんでもない経歴詐称だったという実例。具体的にいえば、学歴や職歴だけでなく、名前さえ本名ではなかったとのこと。それでも人材紹介の会社を通過しているんだね。
仕事はきちんとやってくれているけれど、なんとなく不審に思った上司が調査会社に依頼した。すると履歴詐称の事実が発覚しただけでなく、他の企業からも要注意人物として名前があげられていたらしい。
もし正社員だとしたら社会保険はどうなっていたんだろう? 偽名で社会保険は入れないし、住民税も住所登録を無視できない。試用期間だったのか、それとも特殊な雇用契約だったのかな? どちらにしても正社員ならいつかはバレるはずだけれどね。
この記事を読んで調べてみたけれど、経歴詐称は罪になりにくいそう。経歴を詐称したことで金銭的な利益を得たことが証明できないと詐欺にならない。給料は労働の対価として支払われているわけだから、履歴詐称によって利益を得たとは判断されない事例が多いそう。
大卒なのに高卒限定の募集に応募している人などは、給料のレベルが下がっているわけだから詐欺として訴えられない。民事的な対応で懲戒解雇等はできるけれど、刑事裁判で有罪にするのはかなり難しいらしい。医師の資格を偽った場合なら、明らかに有罪だろうけれどね。
経歴が嘘でも優秀な人材なら、企業とてしては手放したくない。そんなジレンマもあるだろう。だけど嘘は嘘でしかない。これからは中小企業であっても、履歴のチェックに手間と経費を負担する時代になってきたのかもしれない。
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