騒がしいから、これで落ち着こう
ボクの大好きな本で『嫌われる勇気』という作品がある。アドラー心理学を解説したもの。そんな『嫌われる勇気』をあえて発揮している女性がいる。
それはテイラー・スウィフト。以前の彼女はネガティブな反応を寄せつけないため、政治的な発言を避けていた。ところがトランプ大統領が就任したころから、政治的な意見を表明するようになった。さらに個人的な出来事についても、はっきりと自分の意見を述べている。
誰にも好かれることをやめて、嫌われてもいいから言うべきことを堂々と表明することにしたらしい。そんな彼女の最新曲のミュージック・ビデオが昨日になって配信された。『The Man」というタイトで、すでにリリースされたニューアルバムに収録されている曲。
最初に見たときは、映像の意味がよくわからなかった。ヒゲ面の若い男性が出てきて、他人に迷惑をかけながら好き放題しているというビデオ。男性だというだけで威張り散らしている人をディスっているのだけはわかった。
ところが最後まで見てビックリ! なんとその男性は特殊メイクをしたテイラー・スウィフトだった。さらにこのビデオは彼女が監督して作っている。ということはなんらかのメッセージがあるはず。それでもう一度じっくり見た。するとようやくその意味がわかった。
彼女がディスっているのは、スクーター・ブラウンという人。彼女が所属していたレコードレーベルを買収して、彼女の過去アルバムの原盤を手に入れた。そして彼女がライブで過去の曲を演奏しようとすると、このスクーターがストップをかけてきた。これでバトルが勃発したのは有名な話。
このビデオでは、男装したテイラーが立ちションをするシーンがある。その壁には、彼女の過去のアルバムのタイトルが書かれていて、よく見ると『行方不明、見つけたらテイラーに返して!』と張り紙がしてある。もうこれだけで笑ってしまった。いやいや、かなり面白いビデオなのでぜひご覧あれ。
彼女のように自分の意見を言うのはしんどいことでもある。いまの日本のようにウイルスのことで騒然としていたら、いろんな意見が飛び交っている。こんな報道をずっと見ていて、かなり疲れてきた人もいるだろう。
そんな人におすすめの映画を紹介しておこう。自己主張するような人がまったく出てこない、むしろ他人のことを思いやる人ばかりが登場する。久しぶりに見て、ウイルス騒ぎを忘れるほど心を癒された。
『阿弥陀堂だより』という2002年の日本映画。特に大きなドラマは起きないけれど、ボクはこの映画が大好き。寺尾聡さんと樋口可南子さんの夫婦がとても素敵で癒される。
樋口さんが演じる美智子は、優秀な医師だけれど都会で働くうちにパニック障害になってしまう。寺尾さん演じる孝夫は売れない小説家で、妻の病気を直すために彼の出身地である田舎へ越してくる。
美智子は無医村だった診療所で働きながら、本来の自分を取り戻していく。その癒しを象徴していたのが、北林谷栄さんが演じるおうめ婆さん。阿弥陀堂で暮らすおうめさんや、村の人たちとの触れ合いを描いた物語。
美智子夫婦がこの村へ越してきた春から、翌年の春までの出来事が淡々と起きる。もちろん恩師の死や、若い女性の難病を治療するというドラマもある。だけど全体に流れているのは、この村の四季の美しさ。映像を見ているだけで、心のそこから癒されると思う。
ウイルス騒ぎに疲れた人は、この映画を観て少し心を休めるほうがいいかも。一度気持ちを落ち着けないと、パニックになってしまうからね。
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