思い込みで人生を好転させる
何かをなそうとするとき、『根拠のない自信』は必要だと思う。失敗や挫折を経験するだろうけれど、とにかく前に進めるから。手をこまねいて『いつか』を夢見ているのではなく、行動に移すことが可能になるから。
だけどその自信に根拠が伴えば、鬼に金棒となる。『根拠のない自信』が『根拠のある自信』に変化すれば、どんなことでもやってのけられそうな気がする。
でもそれほど簡単に根拠を手にすることはできない。これからやろうとすることに、根拠を持てるほうが難しい。しかしどうしても根拠が欲しいとしたら?
それは『思い込み』しかない。
強烈な『思い込み』は、『根拠のない自信』を根拠のあるものに変えてしまう。
そうなると人間はどのような行動をとるのか、をテーマにした映画を観た。
『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』という2018年のアメリカ映画。コメディ映画でB級っぽい雰囲気なんだけれど、とにかく最初から最後まで笑いっぱなし。こうした映画は理屈じゃないから、とにかく楽しければいいよね。
主人公のレネーは、化粧品会社のウェブサイト管理を仕事にしている。むさい男性と二人でチャイナタウンの地下にこもるという職場。どうにかしてこの状況から抜け出そうと必死になるけれど、レネーには強いコンプレックスがあった。
ダイエットに挑戦してもナイスバディには程遠いし、見た目も決して美人ではない。自分の人生はそのせいでうまくいっていないと感じていた。
ところがある日、決死の想いで通ったスポーツジムで頭を強打する。そのショックでレネーの審美眼が変調をきたし、鏡の自分がナイスバディーの美人にしか見えない。自分の願いかかなって、魔法が起きたと思った。
そこからのレネーはマジですごいし笑える。自分はモデルクラスの美人だと思い込んでいるから、なんでもやってのける。またそれがピタリとハマって、恋人ができるし仕事は出世する一方。
ただ予想できるように、いつしか魔法が解ける。そのときのレネーの心の成長をテーマにした物語。レネーを演じたエイミー・シューマーがめちゃめちゃ面白いので、彼女の演技を見るだけでも価値がある作品だと思う。
ただ笑わせるだけでなく、ためになる示唆を与えてくれる作品でもある。コメディだと思ってバカにしてはいけない。
「思い込み』は両刃の剣である、ということ。自分が美人だと思い込んだレネーは、『根拠のある自信』を持つことで人生を好転させる。でも同時に古くからの友人を失ってしまう。
なぜなら自分が美人になったと思い込んだことで、他人を見下してしまったから。コンプレックスを抱えていたのに、他人のコンプレックスに配慮しなくなった。
思い込みによって人生を変えていくのは有意義だけれど、それが強すぎるとそれまで大切にしてきたものを失う。この映画はその部分についても正面から語っている。
さらに美人で裕福だとしか思えないような人でも、他人に言えないコンプレックスを抱えていることが描かれていた。多少は突っ込みどころもあるけれど、とにかく笑えるのでそんなものは吹き飛んでしまう。
ラストまで見ると素敵な気分になれるだけでなく、自分に自信が持てるようになるかもしれない。その自信は『思い込み』かもしれないけれど、使いかた次第で人生を好転させることが可能だと思うよ。
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