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高羽そらさんインタビュー

怠惰な人間をやる気にさせるもの

昔のCMで、勉強をやらない子供の『やる気スイッチ』を押すというものがあった。あんものがあれば便利だけれど、やる気スイッチなんて存在しない。

 

そもそもやる気なんて、待っていて起きることはない。これは心理学的にも定説になりつつある。

 

もしやる気がどうしても必要なら、とにかく始めること。そうすれば自然とやる気が出てくる。ボクも毎日小説を書いているけれど、やる気満々で書き始めているわけじゃない。

 

前日に書いたところをまず修正する。その作業をしているうちに、次の段階を書きたくなってくる。そうして一度軌道に乗れば、しばらくはその勢いが続く。ひたすらこれを日々くり返しているだけのこと。

 

ただし広い意味で、人間をやる気にさせるものがある。これはアドラー心理学を知っている人ならわかってもらえるだろう。

 

『自分が誰かの役に立っている』と思えること。

 

これは錯覚でも思い込みでもいい。とにかくそう感じることで、人間は本気を出してやる気が起きる。誰かの役に立つ、喜ばれると思えることは、それほど人間にとって根源的な快楽をもたらすものなんだと思う。

 

そんなテーマを扱っている映画を観た。

 

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『アバウト・ア。ボーイ』という2002年のイギリス映画。主人公のウィルを、まだ若いヒュー・グラントが演じている。

 

ウィルはいわゆるやる気のない人間。唯一必死になるのは、女性のナンパくらい。父親が音楽家で、一発屋としてヒットした曲がある。父の死後も、ウィルはその曲の印税で暮らしていた。だから仕事をする気なんてない。ナンパをしている以外は、自宅でテレビを見ているだけの生活だった。

 

だけどシングルマザーの女性と交際したのがきっかけで、ナンパのターゲットを変更する。自分に子供がいると嘘をついて、シングルペアレントの会に参加する。そしてひょんなことから、マーカスという12際の少年と知り合う。

 

マーカスの母は心を患っていて、何度も自殺未遂をくり返していた。そのうえマーカスは学校でひどいいじめを受けている。このままではひとりぽっちになると思ったマーカスは、母の友人と付き合おうとしていたウィルに目を付ける。そして彼の家に入り浸って、どうにか自分の母親と一緒にさせようとする。

 

ウィルに父になって欲しいというマーカスの試みは失敗するけれど、二人は年齢を超えた親友となっていく。いじめからマーカスを救ってくれたことで、彼はウイルを信頼する。ここに至るまでの経緯はコメディらしく大笑いできる。なかなかよくてきた設定だった。

 

やがてウィルは一目惚れの女性ができたし、マーカスも学校で気になる女子生徒がいた。まるで同世代の親友のように、二人で作戦を練ったりする。でもここからが映画らしく、エンディングに向かってトラブルが起きる。

 

そのことでウィルは以前の怠惰な生活に戻ってしまい、マーカスとも距離を置く。でもそんなウィルを動かしたのは、マーカスの危機だった。母親のために他人の前で大恥をかこうとするマーカスを助けるため、ウィルのやる気スイッチが入る。

 

それがどんな結末を迎えるかは、是非ともこの映画を観て欲しい。重苦しい緊張感が、ウィルの勇気によって一転する。そしてそのことによってマーカスだけでなく、マーカスの母の心を救い、ウィルの恋も成就するというエンディング。

 

『誰かの役に立ちたい』という思いが、人間に勇気を奮い立たせ、閉じた心の扉を開けることを信じられる素敵な作品だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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