規制は依存症を悪化させるのでは?
依存症といっても、近年では様々なものが問題視されている。薬物やアルコールだけでなく、ギャンブル依存症も根が深い。
ボクはアルコール依存症の人と身近で接したことがある。老舗の後継ぎとしての重責に耐えられず、お酒とタバコに逃げておられた。数えきれないほど一緒に食事をして、カラオケで歌い、お酒をご馳走になった。きっと一人で飲むのが寂しかったんだと思う。
結局は命を縮めることになり、若くして他界された。辛いことから逃げきれなかったんだね。もしこの人に対して、お酒をやめてください、と闇雲に言っても逆効果だったはず。むしろ依存症を悪化させていたと思う。
逃げざるをえなかった根本的な問題を解決しない限り、お酒をやめても別のものに逃避してしまうだろう。
昨日、ある県が依存症に対処することを目的として条例を成立させた。それは子供のネット・ゲーム依存症。以前からネットで話題になっていたけれど、本当に条例を制定したという事実に驚くしかない。
香川で全国初ネット・ゲーム依存対策の条例が可決 依存症支援者は「根本的解決にはならない」と指摘
この条例に関する問題点をわかりやすく解説している記事。ボクもこの記事の意見に同意する。
その条例について記事から抜粋してみよう。
『18歳未満のインターネットやゲームの依存症を防ごうと、ゲームの利用時間を1日60分(休日90分)までとする目安を盛り込んだ全国初の条例が18日、香川県議会で可決、成立した。4月1日から施行する。条約ではスマートフォンの利用については中学生以下が午後9時まで、それ以外は午後10時までとする目安を設置。罰則は設けていない』
この条例案が出された段階でネットでは批判が殺到していた。若い世代に向けて、香川県を出て移住しておいで、と呼びかける人があとを絶たない。どれだけ客観的に見ても、マジでアホな条例だと思う。
リンク先の記事でも書かれているとおり、こうした規制を設けることで依存症の根本的な解決にならないということ。ネットやゲームに依存するのは、学校や職場、あるいは家庭に問題を抱えているから。依存症と呼ばれる病的な状態になってしまうのは、『何か』から逃げているからだと思う。
もうひとつの問題は、依存症とそうでない人をどこで線引きするかということ。依存と夢中はちがう。ゲームをやっている時間だけで判断できない。この条例によって、もしかしたらゲームの世界でプロとなって大金を稼げる才能に対して、『依存』という烙印を押してしまう可能性がある。
こんな規制を設けたのは、行政サイドの責任逃れでしかないように思う。だけどこの条例を真に受けて、自分の子供にプレッシャーをかける親は必ずいる。そのことで、子供から唯一の逃げ場を奪ってしまうことにならないんだろうか? 思慮の浅い、安易な条例だとしか思えない。
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