限界の自分を救ってくれる存在
物語にどんでん返しは欠かせない。ボクがいつも思い出すのは『シックス・センス』という映画。主人公であるブルース・ウィルスが実は幽霊だったというオチ。初めて観たときは衝撃的だった。
古い映画だと『スティング』のエンディングもいいよね。詐欺師が主人公だから、ラストのどんでん返しもかなり凝っている。『シックス・センス』と同じパターンなら、アン・ハサウェイが主演している『パッセンジャー』もかなり驚くよ。
そして今日は久しぶりに『初回』限定の大どんでん返しを経験できた。まったく知らずに観たから、ラストで思わず唸ってしまった。そして言葉にできない感動に包まれる素晴らしい作品だった。思い出しても泣けてくる。
『タリーと私の秘密の時間』(原題:Tully)という2018年のアメリカ映画。主演はシャーリーズ・セロンで、彼女はプロデューサーにも名を連ねている。
主人公のマーロは二人の子持ち。そして3人目がお腹にいた。幸せそうに見えるマーロだけれど、心は破綻寸前。長男が知的障害の疑いがあることで、出産後にうつとなっていた。どうにか折り合いをつけているけれど、以前の彼女は戻ってこない。
心配した兄が、3人目の出産祝いとしてベビーシッターを雇ってくれた。夜だけ来てくれるシッターで、母乳の授乳以外の時間は眠ることができる。だけど他人に子供を預けることに不安を覚えるマーロは断った。
それは夫の意向でもある。妻の兄とはあまりいい関係ではなく、経済的な支援を受けることを嫌ったから。次女の出産後はどうにか頑張っていたけれど、長女は思春期で難しい年齢、長男は通っていた学校を追い出されるし、そのうえ生まれたばかりの次女の育児でろくに眠れない。
このままでは精神が崩壊すると感じたマーロは、兄にもらったシッターの連絡先に電話を入れる。そしてやってきたのがタリーという20代の女性。このタリーを写真のマッケンジー・デイヴィスという女優さんが演じている。彼女がとてもいい雰囲気で、この役にドンピシャだったと思う。
やがてタリーはマーロに睡眠をもたらすだけでなく、夫、そして長男や長女との関係も修復するために手を貸してくれた。マーロにとってタリーは欠かせない存在となっていく。
だけどタリーは個人的なことを話してくれない。夫がベッドに入った遅い時間にやってきて目覚めるとすでにいない。夫は不審がったけれど、子供が生まれてから8年間放置されていた部屋は掃除されているし、カップケーキが作ってあったりで、タリーを信頼するようになった。何よりも妻のマーロが生き生きとして、以前の彼女に戻ったことを喜んでいた。
だけどある日、タリーはマーロに告げる。自分の人生を先に進めるために、もうここへはこれない、と。マーロは必死で慰留するが、ある事件が起きてそのことを受け入れる。
それはタリーの正体を知ったから。
さてさてタリーの正体とは? まだ新しい映画なので、気になる人は作品を観て欲しい。きっと驚くと思う。
そして何よりシャーリーズ・セロンの女優魂に圧倒されるはず。この映画で怠惰な妻を演じるため、彼女は16Kgも体重を増やしたとのこと。撮影が終わって元のスリムな体験に戻るまで1年半もかかったそう。この役に対する彼女の強い想いを、映画を観た人は強烈に感じると思う。
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