豪華すぎる目くらましに脱帽
手品やマジックの基本は、見ている人の注意をそらすこと。そのパターンには、大きく分けて二つあると思う。
まずは見て欲しくないものを隠すため、別のものに注目させるという方法。
もうひとつの手法は、すべてを派手に演出することで焦点を絞らせないというもの。
この二つ目の手法を、豪華キャストを並べることで成功させた映画を観た。
『裏切りのサーカス』(原題: Tinker Tailor Soldier Spy)という2011年のイギリス・フランス・ドイツの合作映画。いわゆるスパイ映画なんだけれど、『ミッション・インポッシブル』や『007』のように派手なアクションはほぼない。地味な心理戦が展開する作品。
時代は東西の冷戦時代。イギリスの諜報部はケンブリッジのサーカスという場所にあるので、通称でサーカスと呼ばれていた。このサーカスの幹部にソ連の二重スパイが潜入している可能性があった。その裏切り者を見つけるという作品なので、邦題が『裏切りのサーカス』となっている。センスなさ過ぎだけれどね〜www
事件の発端はハンガリー。東側の将軍の亡命を助けるために向かった工作員が射殺される。それが責任問題となり、サーカスを指揮していたコントロールとスマイリーという二人の幹部が辞職を勧告された。そのスマイリーをゲイリー・オールドマンが演じている。
だけどハンガリーの事件は、二重スパイの陰謀だった。ソ連の手先となった人間が幹部にいて、サーカスを牛耳ろうとしている。そこで外務次官が、引退したスマイリーに二重スパイの捜査を依頼するという物語。
先ほども書いたけれどキャストが豪華。イギリスの名優が贅沢に使われている。
二重スパイを探す側は、写真のゲイリー・オールドマンとベネディクト・カンバーバッチ。
怪しい幹部が、コリン・ファース、キーラン・ハインズ、トビー・ジョーンズというイギリスのベテラン俳優。
そして工作員としてゲイリー・オールドマンたちを助けるのが、トム・ハーディとマーク・ストロングという二枚目俳優。
すぐに亡くなるけれど、サーカスを仕切っていたコントロールという人物をジョン・ハートが演じている。とにかくイギリス映画のファンなら、たまらないキャストになっている。
犯人探しの映画で致命的なのは、怪しい人物に有名キャストを使っているとき。クレジットを見た段階で、誰が犯人なのかすぐにわかってしまう。だけどこの映画の場合、どのキャストも名前が知られている俳優なので推理が難しい。最初に書いた手品のパターンと同じ。豪華すぎる目くらましだよね〜!
だから最後まで目を離せなかった。アクション映画を期待している人は退屈に思うかもしれない。だけどイギリス俳優たちの素晴らしい演技を観たい人にとっては、最高の作品だと思う。とにかく誰もが怪しく、それぞれに秘密を持っている。
女たらしの役で登場したベネディクト・カンバーバッチなんて、映画の途中でゲイだとわかるシーンもある。死んだはずの人間が、実は生きていたという設定もある。だから何を信じていいのかわからない。頭を使いながら楽しめる作品だった。
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