匂いとつながる幼い頃の記憶
ボクが五感で自慢できるのは嗅覚。目は近視と老眼で最悪だし、その他の器官はまぁ人並み程度。だけど鼻はよく効く。妻に言わせると犬並みらしいwww
その五感と記憶に関する興味深い研究結果が発表されている。
懐かしいニオイが思い出の記憶と感覚を呼び覚ます。そのメカニズムを科学で証明
街を歩いていて、ふと感じた匂いで昔のことを思い出すことがないだろうか? ずっと忘れていたのに、その香りに刺激されて幼いころのことを思い出したりする。ボクもよくそんな経験がある。
記憶と嗅覚は、かなり密接に結びついているらしい。過去の実験においても、匂いと記憶に関して面白い結果が出ている。ポジティブな思い出と同時に香水を嗅いでもらう。そして脳の活動を測定する。
するとポジティブな記憶と結びついたのは、視覚を通じた香水のビンではなく、匂いのほうがより強い反応を示した。最新の研究でも、視覚刺激よりも嗅覚刺激のほうが強い脳活動を生むことが立証されている。
その理由が科学的に証明されている。匂いの元である分子が嗅覚受容細胞に触れると、嗅球という神経細胞に信号が送られる。この嗅球は鼻から脳につながっていて、「扁桃」(感情処理を司る)と「海馬」(記憶と認知に関係)に直接つながっているとのこと。
聴覚や触覚には、こんな直接的なつながりはない。だから匂いは、感情を刺激して、かつ記憶として定着しやすいということ。特に子供のころに体験した匂いは新鮮なので、幼いころの記憶と密接につながっているらしい。
それでボクの記憶を検索してみた。ボクが反応する匂いに、『お酢』の香りがある。この匂いを感じると、いまでも切ないような、胸がキュンとした感情を伴ってある記憶がよみがってくる。
それは3歳くらいから6歳ころの記憶。その当時は京都市の東山に、父母と妹の4人で暮らしていた。六畳一間の借家住まいで、トイレも台所も共用。もちろんお風呂はないので銭湯。部屋は二階だった。
そしてその建物の一階が、なんと寿司屋だった。だからいつも『酢飯』の匂いを感じていたので、そこでの記憶と匂いが直結している。その当時の母はボクが7歳のときに家出をしているから、彼女の顔は思い出せない。だけど『お酢』の匂いと共に、母親と過ごした日々がほんのりとよみがえってくる。
もうひとつ思い出すのは、陶芸の土の匂い。ボクがそこに住んでいた当時、近所には京都清水焼の窯元がいくつもあった。いまは東山をこえた山科の清水焼団地に移転した窯元がほとんどだけれど、そのころは薄暗い場所でいつも誰かがロクロを回していた。
不思議に思ってじっと見つめていた記憶が、土の匂いと連動している。いまでも土の匂いを感じると、その当時の陶芸家の姿が頭に浮かぶことがある。
今度街を歩いていて匂いと記憶がつながったら、すぐにメモしておくことにしよう。忘れていた『何か』を思い出すかもしれないからね。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする