現実のスパイは生々しい
スパイや工作員という言葉を耳にすると、反射的にジェームズ・ボンドやイーサン・ハントの名前が浮かぶ。卓越した頭脳と鍛え上げられた肉体を持ち、常人には耐えられない訓練を重ね、最新のハイテク機器で武装しているというイメージ。
こうしたイメージに近い人はいるんだろうけれど、現実世界のスパイというのはもっと生々しい。大抵は一般の人たちに紛れて普通に暮らしているはず。映画のような人はほんの一部で、リアルスパイはボクたちのすぐ目の前にいるかもしれない。
そんなスパイの実例となるような事件がアメリカで起きている。
ある人物がスパイ容疑で逮捕された。なんとニューヨーク市警に勤務していて、かつ米陸軍予備役として登録されている男性。中国出身のチベット人だったけれど、中国当局から拷問を受けたとして亡命していた。
容疑の内容はチベット人コミュニティに接触して、その情報を中国政府に流していたというもの。さらにニューヨーク市警が主催した行事に、中国領事館の職員を出席させた報酬として、中国当局から数万ドルの報酬を受け取っていたという疑い。
チベット人として亡命したこの男性を捜査すると、この男性の両親は中国共産党の党員だったことが明らかになったらしい。もし本当にチベット人だとしたら、一家全体で中国政府のために働いていたことになる。
これは日本人には実感を持ちくい事例かもしれない。だけど亡命や移民を受け入れている国にとっては、シャレにならないケースだと思う。スパイというのは養成するよりも、使える人間に委託するほうがコストダウンになる。怪しまれることも少ないから、より正確な情報を得やすいのだろう。
この男性は本当にスパイだったかどうかわからない。だけど同じようなケースはいくつもあるだろうし、アメリカだって中国にこうしたスパイを送り込んでいる可能性がある。
要するに日本にだって、同じような目的で入国している人物が存在するということ。あるいは日本の政治家に取り入って、スパイ的な行動を依頼している可能性もある。現代社会において情報は兵器と同じ価値を有している。だからそのための投資は惜しまない。
まぁ日本人だってバカじゃないだろうから、警察庁の公安部はこうした動きをチェックしていると思う。ただ個人的な感覚だけれど、諸外国に比べたらガードが甘いような気がする。日本を通じてアメリカやヨーロッパの情報が筒抜けになっている可能性はゼロじゃないと思う。
いまの日本がそうしたスパイ危機に直面するとしたら、考えられるのは朝鮮半島における有事。万が一にでも北朝鮮と韓国が戦争になれば、大量の難民が日本に押し寄せてくるのは必至。そしてそのなかには、北朝鮮や中国の工作員が紛れ込んでいる可能性が高い。
アメリカには及ばないだろうけれど、日本においてもスパイに関する対応策を真剣に検討すべき時代が来ていると思う。でもきっとやっているだろう。こんな対策をとっていますと公言できないことだから、庶民の見えないところで対応が取られていることを期待するしかないね。
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