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高羽そらさんインタビュー

普通の人を狂気へ誘う戦争

今週放送されているNHKの『エール』は壮絶。木曜日と金曜日放送分は明日にまとめて見るけれど、昨日の水曜日の内容には愕然とした。

 

裕一が慰問で派遣されたビルマに恩師の藤堂が配属されていた。それだけで悲劇は予想できた。だけど戦闘開始がまさに慰問の音楽会が始まろうとするときだから、ドラマだとわかっていても切なかった。朝の連ドラで、ここまで戦争をリアルに描くのは珍しいと思う。

 

一緒に演奏するはずだった兵士たちが銃弾に倒れた。音楽を愛する本当に普通の人たち。だけどいざ戦闘となれば、彼らは銃を手にして敵国の人間を殺すだろう。でないと自分が死ぬことになるから。

 

戦争がなければ普通に暮らしていた人が、狂気の世界へと誘われてしまう。それが戦争の恐ろしさだろう。ボクだって自分や家族が殺されそうになったら、黙って見ていない。武器を手にして戦うと思う。ただ怖いのは、その狂気に歯止めが効かず暴走してしまうこと。

 

一人の男が際限のない戦争の狂気へと駆り立てられていく姿を描いた映画を観た。

 

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『ナチス第三の男』(原題:The Man with the Iron Heart)という2017年のフランス、イギリス、ベルギーの合作映画。日本での公開は2019年らしい。

 

実在の人物であるラインハルト・ハイドリヒを描いた伝記映画。ハイドリヒはナチスの親衛隊創設に関わり、ナチスNo.2であるヒムラーの直属の部下として副総督にまでなった。つまりヒトラーを筆頭にして、ナチス第三の地位まで登り詰めた人物だった。1942年6月に彼が暗殺されるまでの様子が語られている。

 

元はドイツ軍の海軍士官だった。だけど提督の娘との結婚問題がこじれ、軍帽会議にかけられてしまう。そして不名誉除隊の処分を受けた。普通の軍人だったけれど、クビになったことで現体制に恨みを持ったのかもしれない。

 

彼はそのときつき合っていたリナという女性と結婚すると、ナチス党員となった。なぜなら妻のリナが党員だったから。そのリナをロザムンド・パイクが演じている。優柔不断な態度を見せるハイドリヒの尻を叩いたのがこのリナ。『ゴーン・ガール』で見せた恐ろしい彼女の演技を思い出した。

 

ところがヒムラーに採用されてから、ハイドリヒは彼が持っていた狂気を噴出させる。彼のあだ名は『金髪の野獣』で、ナチス親衛隊をあれほど恐ろしい組織に導いたのは彼だった。ユダヤ人の粛清のシーンは辛くて見ていられない。収容所を作る計画も彼の考案だった。まるで悪魔のような人物。

 

そして映画の後半は、彼の暗殺とナチスによる報復が物語の中心となる。かなり迫力のある展開だったんけれど、映画としてやや残念な結果になっていた。きっと欲張り過ぎたんだと思う。

 

ハイドリヒ、そして彼を暗殺したグループをどちらも描こうとした。だから映画を観ている人は、どちらに感情移入していいか混乱してしまう。そのうえ時間の関係もあるだろうけれど、なぜハイドリヒがあれほどの狂気に走ったのかが語られていない。妻に尻を叩かれただけで、あそこまで残忍なことはできないだろう。

 

同じく暗殺者たちの背景もあっさりとしていて、どうも現実味がない。どちらかに絞って人物像を追求していったほうが、より素晴らしい映画になったと思う。といっても感動作品というよりは、戦争の狂気をリアルに伝える内容だからね。どちらにしてもやり切れない気持ちになるだろうなぁ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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