表舞台と裏方の華麗な勝利
ボクの過去生には、きっとイギリス人だった人生があると思う。そう確信するほどイギリスという国が好きで、特に貴族や王室の世界が描かれた物語や映画には強く引き付けられる。
そんな映画のタイトルをあげたらキリがないけれど、最近ではカズオ・イシグロさんの作品である『日の名残り』という小説と映画にハマってしまった。1920年から1930年にかけての、イギリスの貴族の屋敷を舞台にした物語。
そして今日観た映画も同じく、1927年のイギリス貴族の屋敷の出来事が物語となっている。ボクにとってはど真ん中のストライクの作品で、ハラハラしたり、大笑いしたり、感動で涙ぐんたりと、忘れることのできない素晴らしい作品に出会うことができた。
『ダウントン・アビー』2019年のイギリス・アメリカ合作映画。日本での公開は今年の1月とのこと。元の作品は2015年まで放送されていたテレビドラマらしく、その続編的な内容として劇場用の映画が公開された。登場するキャストもドラマとほぼ同じらしい。
ダウントン・アビーというのは、イギリスはヨークシャー州にあるクローリー家という貴族の邸宅の名前。1927年のある日、国王のジョージ5世とメアリー王妃が行幸途中にダウントン・アビーで一泊するとの連絡がバッキンガム宮殿から届く。それでダウントン・アビーは大騒ぎとなる。
ドラマは見たことないけれど、この物語はとてもうまく構成されている。屋敷の主人たちである貴族の物語と、その家の使用人たちの物語が同時進行していく。映画でもそれが踏襲されていて、この表舞台と裏方のタッグの良さに感激する。
最高だったのは写真の下段の使用人たち。王様は1泊しかしないのに、宮殿の人間たちはシェフや食材、そして執事まで送り込んできた。つまりダウントン・アビーのような田舎の人間は国王の前に出ることは許さんということ。
だけど彼らはこの屋敷で働いてきたという矜持がある。このチャンスに国王夫妻にサービスできないなんて耐えられない。そのうえやってきた宮殿の人間たちは横暴で、彼らを人間扱いしない。そこで使用人たちはある作戦を練って反乱を起こす。それが面白くて最高だった!
そして貴族たちも国宝夫妻をもてなしながらも、様々なトラブルに遭遇する。クローリー家の三女と結婚したトムによって、王様の暗殺を未然に防ぐこともできた。さらに一家の相続問題も取り上げられていて、貴族の悲哀のようなものが物語の全体を通じて語られている。
どちらもハッピーエンドで、見終わってとても爽やかに気持ちになれる作品だった。この映画を引っ張っていたのは、クローリー家を束ねている老婦人のバイオレットを演じたマギー・スミスだと思う。ついハリーポッターのマクゴナガル先生を思い出してしまうけれど、本当にいい俳優さんだなぁ。
とにかく最初から最後まで楽しくて仕方ない映画だった。この物語の12年後には第二次世界大戦が起きる。そんな時代をこの家の人たちがどう過ごしたのかを、同じキャストで観たいなぁ。やっぱりイギリスの俳優さんは最高だよね!
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