あまり想定できない危険
ある記事を読んで、京都の印刷会社にいたときの出来事を思い出した。事務所があるビルは3階建てで、最上階は社長の自宅になっている。社長の奥さんが車いすを使っていたので、家庭用のエレベーターが設置されていた。
普段は社員がエレベーターを使うことはないけれど、たまに重い荷物があるときに2階の作業場までエレベーターを使うことがある。当時まだ30代の前半だった営業担当の男性が、何かの用事でエレベーターを使ったらしい。というのはそのことを誰も知らなかった。
しばらくすると事務所で電話が鳴った。事務所の女性が出ると、電話をかけてきたのはその男性。エレベーターの故障で閉じ込められたということで、半分泣きそうな声で電話をかけてきた。
結果的にはエレベーター業者を呼ぶことなく無事に出られた。そのあわてぶりが面白くて、しばらくは事務所で彼をネタにして大笑いできたほど。だけど本人にとってはかなりの恐怖だったと思う。そんなことを思い出したのはこの記事を読んだから。
「エレベーター閉じ込め」経験者だから分かる、密室の恐怖と本当にとるべき行動
今日のニュースで、トルコの大きな地震が報道されていた。かなりの死傷者が出ているらしい。地震国の日本も定期的に大きな地震が起きる。そのとき問題になるのがこのエレベーター。
2018年に起きた大阪の地震のときも、多くの人がエレベーター内に閉じ込められた。もしもう少し地震発生の時間が遅ければ、大阪のオフィスビルで大量の人が閉じ込めえられていただろう。
こうした大きな災害の場合、その地域のエレベーターが影響を受ける。だからすぐに業者が駆けつけてくれるとは限らない。この記事の著者もエレベーターに閉じ込められた経験があり、ドアが開くまでの2時間は耐え難い恐怖だったとのこと。
だからこの男性はそれがトラウマになっていて、いまだにできる限りエレベーターを避けているそう。どうしても乗るときはスマートフォンの充電をフルにして、かつペットボトルの水を用意するそう。
よく映画でエレベーターに閉じ込められた登場人物たちが、天井部分を開けて脱出するシーンがある。日本のエレベーターの構造では、あんなことは絶対にできないらしい。自動停止で最寄りの階に止まって扉が開かなければ、エレベーター内のインターフォンで連絡をとって業者が到着するのを待つしか方法がないらしい。
この記事を読んで、たしかに大変だとは思った。2時間でも辛そうだけれど、もし半日以上も閉じ込めれたとしたらキツい。停電だったらエアコンが切れるかも。そうなると脱水が心配になる。
さらに便意をもよおしたときも困る。他人が同乗している前で、ズボンをおろすわけにはいかないものね。パニックになって泣き叫ぶ人がいたら、どうしていいかわからないだろう。
ただそうは思っても、いちいちそんなこと想定していられない。エレベーターなんて日常的に使うので、その度にドキドキしていたら身体がもたないだろう。想像して大変だろうなぁと感じても、きっといつもと同じようにエレベーターに乗るはず。この記事の著者のような体験をしなければ、そこまで準備をする気にならないだろうなぁ。
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