時間が存在する場所
今年の大掃除も終盤に入ってきて、予定どおりにいけば来週中には終わるだろう。ただここ数週間は大掃除が追加されたことで、かなり時間に追われている。
毎日の掃除はいつもどおりにやっているし、買い物や仕事、そしてこうしてブログを書くことも通常どおりにこなしている。だから時間に余裕がなくて、いつもバタバタしているような気がする。
もっと時間が欲しい。そう思っているときにこんな本を読んだものだから。あまりに逆説的なタイトルに大笑いした。
『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ著という本。著者は理論物理学者で、『ループ量子重力理論』の提唱者。現在はフランスの大学で研究チームを率いている。過去に著者の物理学に関する本を読んで感銘を受けた。それでこの本を手にした。
時間がなくてバタバタしているボクが、この本を手にして大笑いしたのがわかるはず。だって『時間は存在しない』なんて言うんだからねwww
でも読み進めていくにつれ、笑えなくなってきた。アリストテレスから始まり、ニュートン、アインシュタインを経由して、著者の専門分野である量子物理学にまで言及していくにつれ、時間が存在しないことを否定できなくなってきた。
数式を使わずに書かれた本なので、物理学の知識がなくても読める。ただし言い回しや理論構成がとっつきにくいので、理解するのに時間がかかる。ボクもこの本の内容を完璧に理解できたとは言えないかもしれない。だとしても『時間は存在しない』ことがそれなりに理解できた。
著者のいう時間とは、過去から未来へと流れていく一般的な概念。原因があって結果があるという、ボクたちが普段からなじんでいる世界のこと。だけど現在の物理学においては、この『時間』の概念はすでに崩壊している。
時間という認識が相対的であることは、すでにアインシュタインが提唱している。マクロレベルで時間を観察した場合、人間がいる場所、周囲の重力、移動しているスピード等によって、まったく異なる時間が計測される。これは実験で証明されている。
さらに量子論というミクロの世界を取り入れることで、ボクたちが抱いている時間の概念が成り立たないことがわかってきた。このあたりをくわしく知りたい人は、ぜひこの本をトライして欲しい。そうすればおおよそは理解できるはず。
ボクたちにとって時間は明らかに存在している。最初に書いたように、ボクは今日も時間に追われている。時差があるとはいえ、今日は刻々とアメリカ大統領選挙の速報が入ってくる。未来である結果が先にやってくることはない。
でも理論物理学者が時間は存在しないといっている。だったら時間はどこにあるんだろう?
この本では最後の数章を割いて、そのことを説明している。それはボクが以前から感じている感覚だと同じものだった。
時間が存在している場所は、人間の意識とのこと。つまり『自我』が存在してこそ、時間という一連の流れが生まれる。この物理世界でボクたちが生きていくうえで作り出した便利なアイテムが、過去から未来へと流れる時間だと考えていいのかもしれない。それは記憶に支配された世界。
ということは死後世界があるとしたら、きっとそこは時間のない世界なんだろう。だけどこの世界にいるボクたちには、その状況を想像することさえできない。もっとも近いのが夢の世界かもしれないね。
とにかく物理学を極めていく学者たちは、結果としてスピリチュアルな世界へ近づいていくような気がする。おそらく科学も精神世界も、まったく同じものを追求しているからだろうね。
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