天使と悪魔は相思相愛かも
この世は二元化の世界。あらゆるものが対称性を有していて二つに分離している。光と闇、善と悪、男と女、さらには物質と反物質なんてものもある。
その分離が象徴してるのは、すべてがひとつであるということ。男と女によって新しい命が生まれるように、二元化は融合することで新しい世界を創造する。それゆえ反対のベクトルを有するものは、互いを求める引力にあらがうことができない。なぜなら『ひとつ」であることがすべての根源だから。
ずっと気になっていた小説の秘密が、実は根源的な二元化に由来するものだった。
「シャドウハンター 硝子の街』上巻 カサンドラ・クレア著という小説。いよいよ『シャドウハンター』シリーズの完結編である第3部に突入した。人間に天使の血が混じることでシャドウハンターが誕生した。彼らの目的は、地上に潜入する妖魔をこの世界から追い出すというもの。
主人公はクラリーというティーン。普通の人間として育ったけれど、実は父も母もシャドウハンターだった。そのうえ父のヴァレンタインは裏切り者で、妖魔を集結させてシャドウハンターの国を奪おうとしている。
前作のラストでは、ニューヨークに集めた妖魔たちに大勢のシャドウハンターが殺されたが、クラリーの驚くべき能力によって全滅を免れることになった。だがなぜそんな能力がクラリーにあるのかわからない。その謎が、今回の作品で明らかになった。
もう一人の主人公はジェイスという17歳のシャドウハンター。クラリーとジェイスは互いに惹かれ合うけれど、二人は兄妹であることがわかる。そうだとわかっているのに二人は自分の恋心をどうすればいいかわからない。だからボクの予想としては、きっと二人は実の兄妹ではないと思っていた。
だけど第3部の上巻を読んでビックリ。いまのところ二人が同じ両親を持つことはまちがいない。ところが父親のヴァレンタインは、二人の子供に恐ろしい実験を行っていた。普通のシャドウハンターの能力を超越させるため、ある存在の血を混ぜていた。
兄のジェイスには悪魔である妖魔の血。だから彼は他のシャドウハンターにない超越的な能力を持っていた。
妹のクラリーには父が捕獲した天使の血が混ぜられた。だからクラリーもおそるべき能力を発揮した。
兄妹であるはずの二人が互いに惹かれ合うのは、天使と悪魔の血が作用しているから。だから相手を心から求めようとしている。もう少しで二人は結ばれそうだったけれど、大変なことが起きてしまう。
クラリーとジェイスの母にかけられた魔法を解くため、二人はシャドウハンターたちの故郷であるイドリスにいた。さらにヴァレンタインが攻撃を仕掛けてくる可能性があったので、世界中のシャドウハンターたちも集結していた。
そしてついに戦いが始まった。上巻のラストでは、老人や子供といったシャドウハンターたちまで妖魔の襲撃によって命を奪われている。二人は自分たちの秘密を仲間に隠しつつ、戦場へと向かった。
さて二人の運命はどうなるのか? 下巻が図書館に届いているので、近いうちに手に入れよう。
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