最後を一緒に過ごしたい人
テレビ番組等で、最後の晩餐について尋ねている場面をよく見かける。今日が人生最後の日だとしたら何を食べたいか、という質問。
ボクも考えてみたことがある。だけど食い意地が張っているボクにとって、たったひとつに決めるなんて無理www
今日観た映画は最後の晩餐じゃなくて、最後の恋の物語。恋多き女優が人生の終焉を自覚したとき、共に過ごすことを選んだ男性とは?
『リヴァプール、最後の恋』(原題:Film Stars Don’t Die in Liverpool)という2017年のアメリカ・イギリス映画。実在の女優であるグロリア・グレアムが亡くなる前の数年を描いた伝記映画。グレアムを演じているのは、写真のアネット・ベニング。
オスカー女優であるグレアムは、すでに過去の人物として映画界では扱われていた。美貌を売りにしていただけに、50代になって役を得ることが減ってきた。そんな彼女がまったく売れていない駆け出しの俳優であるピーターと出会う。
やがて二人は恋に落ちるけれど、年齢差は半端ない。グレアムは4度の結婚と離婚を繰り返し、4人の子供がいる。彼女が産んだ最初の子供が20代後半で、ピーターと同じ世代。だから二人は年齢的に親子の開きがある。
そんなハンデを負いながらも、二人は本気で愛し合う。そしてグレアムの自宅があるニューヨークで、二人は一緒に暮らすようになる。だけどその直後、破局を迎えてしまう。グレアムがピーターを追い出したから。
幸せな生活をしていたのにピーターは理解できない。グレアムがピーターを追い出したのは、彼女の病気が理由だった。未来のある若者の人生を、自分のせいで犠牲にすることはできない。それで俳優らしく演技をすることで、ピーターを追い出した。
その数年後、リヴァプールにあるピーターの自宅に電話がかかる。ロンドンで舞台に出演していたグレアムが倒れたとのこと。そしてピーターに連絡をとって欲しいとの願いだった。グレアムと再会したピーターは、彼女を自宅に招き入れて療養させることにした。
最終的にはグレアムの息子が母親を引き取りに来て、ニューヨークの病院へ入院させるシーンで終わる。切ないけれど、最高に素敵なラブストーリーだった。
まずピーターを演じたジェミー・ベルはぴったりの役だったと思う。年齢差のあるグレアムに対して、自然で本気の愛を感じさせる演技だった。
だけどそんな彼の演技を遥かに凌駕する実力を見せたのが、グレアムを演じたアネット・べニング。この映画を撮影した当時で、本当のグレアムとほぼ同じ年齢のはず。冒頭のシーンではほぼスッピンで登場して、舞台出演前のメイクをする。
アップになるとシワが目立つ。だって彼女もそれ相応の年齢だから。それを堂々とスクリーンにさらけ出したのはすごい。さらにピーターとのベッドシーンも多く、できる限り真のグレアムを演じようとする彼女の意気込みと決意を感じる演技だった。
ボクが20代のころ、大好きで追っかけていたアネット・ベニング。ウォーレン・ベイティに奪われてしまったけれど、60代になっても本当に素敵な女優さんだと思う。年齢を重ねた彼女の演技を、これからもスクリーンで観たいなぁ。
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