一途な姿が最高にカッコいい
小説や映画に求められるのは、主人公を好きになれることだと思う。別に善人でなくていい。悪役であっても、その人間を応援したくなる状況が大切。
つまるところ感情移入というのは、どれだけ主人公に好感度が持てるかにかかっていると思う。嫌いなやつの物語なんて読みたくも観たくもないからねwww
殺し屋で犯罪を犯しているけれど、最後まで応援したくなる主人公が登場する映画を観た。
『ザ・ガンマン』という2015年のアメリカ映画。タイトルだけだと西部劇のようだけれど、まったくちがう。このタイトルはどうかと思う。なぜならとても面白いアクション映画だったから。主演はショーン・ペン。
ショーン・ペン演じるジムは、元特殊部隊の兵士。多国籍企業に雇われていて、コンゴ民主共和国で治安維持部隊として活動していた。だけどその多国籍企業は悪に手を染めていた。内戦状態のコンゴにおいて、反政府軍に武器を売るのが本当の目的。
それゆえ政府がそれを阻止する政策を発表すると、妨害するために全力を尽くす。ジムと仲間はそうした汚れ仕事を請け負っていて、彼はコンゴの大臣暗殺の実行犯となる。コンゴで医療活動をしていたアニーという恋人がいたけれど、暗殺の実行犯として国外へ逃亡してしまう。
これだけ見ていると、ただの犯罪者でしかない。確信犯だからね。だけどなぜだか憎めない。なぜならジムはアニーを心底愛していて、その一途な想いに感情移入してしまうから。
暗殺事件から8年経ったコンゴで、NGOに参加して井戸を掘っているジムがいた。目的はアニーを探すこと。だけどアニーはジムが去ったことで、当時の仲間だったフェリックスという男に奪われていた。そもそもアニーを横取りするため、暗殺の実行犯にジムを指名したのがフェリックスだった。
ところがアニーを諦めかけたジムが襲われる。彼の命を狙ったのはジムを雇っていた多国籍企業に派遣された傭兵たち。ある企業との大きな事業が進んでいて、その会社は過去の悪事を知るジムたちを抹殺することにした。となるとフェリックスの妻となったアニーも危ない。
ということでジムの孤独な戦いか始まる。結論からいえば、ジムとアニーは元の恋人同士に戻る。ジムも過去の罪を刑務所で償う。だけどそこに至るまでの過程は、フェリックスの死を含めて多くの血が流されることになった。後半のアクションシーンはかなりの見もの。
とにかく映画の全編を通してショーン・ペンが最高にカッコ良かった。ボクはちょっとクセのある顔の彼が苦手で、若いころにはちょっと敬遠していた。だけどこの映画のショーンは、ボクがいままで見た彼のなかで最高だった。身体も鍛えているし、アクションも本当に素敵だった。
そしてこの映画を面白くしているのは、フェリックスを演じたハビエル・バルデム。悪役をやらしたら右の出る人がいない名優。ところが彼がいい役をやると、また魅力的なんだよね。この映画では、彼の持ち味である嫌な人間を完璧に演じていた。
少しエグいシーンが多いけれど、十分に楽しめるアクション映画だった。いまや60代のショーンだけれど、まだまだアクションができるよなぁ。
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