白人至上主義=無知
ボクは大学の卒論テーマにヤギの染色体モデルを選んだくらいなので、遺伝子やDNAに関する関心がとても強い。だから小説でもよく使う。
いまや遺伝子の研究は加速度を増していて、新しい事実が日々明らかになりつつある。スーパーコンピュータを活用することで、さらに研究が進むだろう。
民間企業においても遺伝子検査分野への進出が目立つ。俳優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査を受けることで、将来のガンの発生を危惧して乳腺除去の手術を受けたのは有名な話。ちょっとやり過ぎな気がするけれど、遺伝子の研究が実用的になってきたことを証明するものだろう。
そしてアメリカでは、あることに遺伝子検査を利用する人が増えているそう。
アメリカの白人至上主義者の間で、遺伝子検査がブームになってる驚きの理由
記事のタイトルを見れば、なぜ白人至上主義で遺伝子検査がブームになっているかわかるはず。有色人種の遺伝子が自分に存在するかどうかを確かめるため。自分を構成している肉体が、ピュアな白人であることを明確な証拠として自覚したいから。
この事実を知るだけで、白人至上主義者を自称している人たちが無知の集団であることがわかる。無知だから白人至上主義になるのか、白人至上主義だから無知になるのかわからない。どちらにしても、特定の人種が優れていると本気で思っていることに問題がある。
遺伝子検査は進化しているので、自分のルーツがある程度わかる。だけど目的が純粋な白人であることを確信したいことなら、それはどう考えても無理。アメリカ人の多くはヨーロッパの移民。だから先祖たちが狩猟民族から進化していくにあたって、様々な人種と混血しているのは当然。
だから有色人種の遺伝子が混ざっていない人を探す方が難しい。日本人だって大陸のアジア人と混血している。遺伝子レベルで見た場合、あらゆる民族の痕跡が残っていると考えるのが普通。
だから予想されることが起きている。検査を受けた白人至上主義たちが逆ギレしているらしい。記事から抜粋してみよう。
「検査結果よりも家系図や祖父母から聞いた祖先の話を信じる」
「人種は目に見える特徴として現れるはずなので、自身の外見と合致しない検査結果は無視する」
「検査を行った科学者が、白人に対する否定的なバイアスを持っているに違いない!」
「検査会社を所有するユダヤ人の陰謀だ」
遺伝子検査で人種の概念を明確にすることが無茶。人類の歴史を考えたら、曖昧な結果が出るのは目に見えている。マジでバカな連中だとしか思えない。
ベストなのは白人至上主義たちが遺伝子検査の結果を受けて、人種の多様性を認識してくれること。だけどそもそもの目的が歪んでいるから、自分が望む結果以外は受け付けないだろう。つまりアメリカの人種差別、いや世界にはびこる人種への偏見は、そう簡単にはなくならないということだろうね。
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