悲惨すぎて言葉にならない
日本史が好きなボクだけれど、世界史はちょっと苦手。それゆえ小説や映画を通じて世界史の勉強をしている。そのほうが楽しみながら理解できるから。いま時間をかけて電子書籍で読んでいる小説は、1830年にフランスで起きた7月革命について書かれている。この物語を読むまで、このとき王位についたルイ・フィリップという人物なんて知らなかったからねwww
そしてロシア革命に関する映画を観た。これは革命側から描かれたものではなく、ロシア帝国最後の皇帝となったニコライ2世の最後をテーマとしたもの。初めて知ったことばかりで、あまりに悲惨すぎて言葉にならなかった。
『ニコライとアレクサンドラ』という1971年のイギリス・アメリカ映画。ニコライ2世と皇后のアレクサンドラの最後を描いた作品。映画の冒頭は日露戦争からスタートして、第一次世界大戦を経てロシア革命に至るまでの物語。
3時間以上ある作品で、歴史に興味がない人にはやや退屈かもしれない。でもボクはイギリスの名優が大勢出演しているので、俳優たちの演技を見るだけでも楽しむことができた。ロシア人なのに、誰もが英語を話しているけれどねwww
ただあまりに悲惨な物語。ニコライ2世は皇帝としての権威を守ろうとすることで、大勢の命を犠牲にしてしまった。民衆の声に耳を貸すことなく、戦争や貧困によって国民に愛想を尽かされることになってしまう。革命が起きる要因を作ったのは事実だろう。
その一方で家庭人としては好人物として描かれている。写真のように4人の娘がいて、末っ子に皇太子である男の子が生まれた。娘や妻を大切にする人物で、特に息子に対しては溺愛に近い。それは後継ぎというだけでなく、皇太子は血友病を患っていて成人するかどうか微妙だったから。
最終的に第一次世界大戦による責任をとって退位する。民衆の怒りが頂点に達し、国会議員だけでなく軍部にまでそっぽをむかれてしまったから。皇太子の即位権でさえ放棄することで、完全に王制を終了させた。そして家族でひっそりと暮らそうとした。
だけど民衆はそれを許さなかった。シベリアに抑留されたのち、最終的にこの一家は全員処刑された。先ほどの写真は映画のラストシーンで、この直後に射殺されてしまう。少年やティーンの娘たちも一緒に。
だけどニコライ2世が奪った命ははるかに多い。それも彼自身は自らの手を汚していない。そういう意味では、銃を構えた革命者たちのほうが自分の行為に対してより意識的だろうと思う。どちらがいいというものじゃないけれど。
ニコライ2世に関していろいろ調べていると、こんな写真が出てきた。
この人たちが無惨にも処刑されているんだね。せめて子供たちでだけでも助けることはできなかったんだろうか。革命者たちは、最初の発表では子供は生きていると報告したらしい。多少なりとも罪の意識があったのか、あるいは世論を気にしただけなのか。ただ遺体は無惨に打ち捨てられていたそう。
この非人道的なやり方は、のちの社会主義国家であるソ連政府を象徴しているように思う。いや、この時代の国家はどこも同じかも。そしていまになっても、基本的なものは変わっていないような気がする。
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