よし、ディケンズを読もう!
数えきれないほどの書籍があるなかで、特定の作家とは必然的な結びつきを感じる。ボクがトールキンの小説にハマったのは、映画の『ロード・オブ・ザ・リング』がきっかけ。そしてそれと同じく、まだ未知の作家との出会いを演出してくれた映画を観た。
2021年 映画#3
『大いなる遺産』(原題:Great Expectations)という2012年のイギリス映画。イギリスの俳優が大好きなボクとして、キャストだけで観ることを決めた作品。原作はイギリスの作家として超、超、超有名なチャールズ・ディケンズで、この『大いなる遺産』は何度も映画化されているそう。
恥ずかしながらボクはディケンズの作品を読んだことがない。イギリス好きなのにあまり縁がなかった。だけどこの映画を観たことによって、絶対に彼の作品を読もうと決めた。なぜならとてつもなく面白いストーリーだったから。
主人公のピップは貧しい田舎の少年。両親を亡くし、鍛冶屋を営んでいる姉夫婦に育てられていた。ある日両親の墓参りの最中、脱走した囚人に襲われる。鍛冶屋なら翌日の朝に、食べものとヤスリを持ってこい。さもなければ殺してやると脅される。ただし、誰にも自分のことを言うんじゃない、と。
ピップは約束を守り、囚人に食べ物とヤスリを渡す。そんな人助けが、青年になった彼の人生を大きく変えてしまう。いずれ自分は鍛冶屋を継ぐしかないと思っていた。ところが近くに住む金持ちの女性に目をつけられ、お金をもらうことでその城のような家に行くようになった。
そこでその女性の養女であるエステラと出会う。一目惚れしたピップだけど、身分がちがいすぎる。彼女と結婚するなんて夢でしかない。ところが青年になったピップに想定外の出来事が起きる。名前を知らせないという条件で、ピップに多額の遺産を残すという人物が現れた。
ここまで書くと想像できるとおり、その遺産を残したのはピップが少年時代に助けた囚人だった。そして田舎の家を出てロンドンに出たピップは、紳士としてのスキルを身につけながら、どうにかしてエステラとの恋を成就させようとする物語。そのエステラも実は訳ありで、その囚人と深い関係がある。
ラストはハッピーエンドなんだけれど、人間関係が巧妙に絡み合っていて完成度の高さに驚かされた。何度も映画化されたことに納得。おそらく原作はもっと面白いだろうと想像できる。ということで今年の読書には、ディケンズの小説を取り込んでいくことを決めた。きっと必然的な出会いなんだろう。
ちなみにこの映画は、ハリーポッターファンが観ても興味深いと思う。弁護士役を演じているのは、ハグリッドを演じていたロビー・コルトレーン。エステラの義母役は、ベラトリックスを演じていたヘレナ・ボナム=カーター。そして遺産を残した囚人役は、ヴォルデモートを演じたレイフ・ファインズ。
その3人がそれぞれに絡むシーンを観ているだけで、ハリーポッターの場面を思い出して、ついニンマリしてしまう。やっぱりイギリスの俳優さんって素敵だよなぁ。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。