魅力的な葛藤たちに脱帽
小説や映画に欠かせないものがある。それは主人公を困らせること。そのために効果的に使われているのが『葛藤』だろう。
必然的で強烈な『葛藤』は、映画を観ている人や小説の読者を惹きつける。登場人物と一緒になってどうすればいいのか悩む。そんな効果的な『葛藤』が見事に提示された小説を読んだ。
2021年 読書#4
『トワイライト6 嘆きの堕天使』ステファニー・メイヤー著という小説。ここのところ読んでいた勉強本の区切りがついたので、ようやくレギュラーの作品に手をつけている。全部で13作ある『トワイライトシリーズ』の第6弾。
映画しか観ていないボクの記憶は前回までなので、この作品からは未知の世界に入っていく。もしかしたら映画で観たのに忘れているだけかもしれないけどwww
前回まではベラの元を去ってしまった吸血鬼のエドワードに代わり、人狼のジェイコブとベラとの友情が中心になっていた。ジェイコブの片想いなので二人の恋愛は成立しないけれど、エドワードが去ったと思い込んでいるベラにすれば迷うところ。
ところがこの第6弾でついにエドワードが戻ってきた。前回のラストでベラは海に飛び込んで死にそうになる。ジェイコブに助けられて死ななかったけれど、エドワードに伝わった情報はベラの死。つまり『ロミオとジュリエット』のパターンになる。
ベラのいないこの世に意味を見失ったエドワードは、イタリアの街を支配する古い吸血鬼に会うことで、自分を殺すように仕向けた。エドワードの姉であるアリスからそのことを知らされたベラは、自分も殺されることを覚悟でエドワードを救いに向かう。
ということでこの本でようやく二人が再会する。待ってたよ〜〜!
互いの愛を確かめ合った二人だけれど、未来には暗雲が立ち込めている。ここに複数の『葛藤』が用意されていて、この物語がベストセラーとなった理由がよくわかった。続きが気になって仕方ない魅力的な葛藤たちに、本気で脱帽するしかない。
イタリアのヴォルトーリー一族にエドワードとベラは命を奪われそうになるが、ある条件を提示される。二人の命を助けるのは、ベラが吸血鬼になることが条件だった。その場を切り抜けるのは、その条件を受け入れるしかなかった。
だけどそれはベラが以前から望んでいたこと。永遠の命を持つエドワードと結婚したとしても、いつか自分は年老いて死んでしまう。それならまだ10代のうちに吸血鬼にしてほしいというのが願いだった。
結果としてベラは吸血鬼になることを約束してしまった。期限は明示されていないけれど、ヴォルトーリー一族がたしかめにきたときに人間のままだったらベラは殺されてしまう。エドワードの葛藤は、ベラを吸血鬼にするかどうかというもの。
ベラの葛藤はもっと複雑。エドワード一家の仲間になることに異存はない。もし自分が拒否すればヴォルトーリー一族とエドワードの家族であるカレン一族との戦争になってしまう。だけど自分が吸血鬼になれば、父と母は絶望するだろう。その葛藤に苦しんでいる。
でもベラはブレない。エドワードや彼の父がわりであるカーライルと交渉することで、高校卒業と同時に吸血鬼になることを決めた。そがそのことによって新たな『葛藤』が発生してしまう。
吸血鬼であるカレン一族と、人狼であるジェイコブたちとのあいだには重要な決まり事がある。互いに干渉しない約束だけれど、もしカレン一族が人間を噛めば規則破りとなり、両者は戦争になってしまう。つまりエドワード、あるいはカーライルがベラを吸血鬼にしてしまうと、ベラの恋人と親友が殺し合うことになってしまうというもの。
う〜ん、この先はどうなるんだろう? まだ7冊も残っているので当分のあいだは楽しめそう。さっそく第7弾を読むとしよう!
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