スパイ映画風ラブロマンス
ボクはスパイ映画が大好き。古くは007シリーズから、昨今ではミッション・インポッシブルシリーズまで、好きな作品は数えきれない。
かなり古い作品なんだけれど、スパイ映画ということで興味を持った。さらに監督がアルフレッド・ヒッチコック。これならハラハラドキドキのスパイ映画にちがいない。そう思って観たけれど、とても素敵なラブロマンス作品だった。
2021年 映画#25
『汚名』(原題:Notorious)という1946年のアメリカ映画。監督は先ほど紹介したヒッチコックで、主演は写真のケーリー・グラント、そしてイングリッド・バーグマンという美男美女の二人。
たしかに映画の始まりはスパイ映画だった。この時代を象徴していて、アメリカ政府はナチスの残党探しをしている。イングリッド・バーグマン演じるアリシアはドイツ系アメリカ人で、父はナチスのスパイとして逮捕されている。そんな父に反感を持っていたアリシアは、酒に溺れ自堕落な生活をしていた。
そこに目をつけたのがFBI。ケーリー・グラント演じるデブリンは、アリシアのアメリカに対する愛国心に期待して、捜査に協力して欲しいと頼む。ターゲットはアリシアの父の友人で、ブラジルに逃亡しているナチスの残党たち。その証拠をつかむために、父の友人の娘として接触してほしいという依頼だった。
接触する相手はセバスチャンという裕福な男性。以前からアリシアに誘いをかけていた男だった。アリシアはスパイとして潜入するかどうかを悩むけれど、デブリンと恋仲になったことで、彼を信じて承諾する。
ところがFBIの上層部は二人の仲を知らない。セバスチャンを色じかけで誘惑するようにとアリシアに持ちかける。デブリンは反対するけれど、上司には逆らえない。アリシアが断ってくれることを願いつつ、FBIの依頼を彼女に伝える。
ここでの二人の微妙なすれ違いが、関係を複雑にしてしまう。デブリンがその任務に反対しなかったことにアリシアはショックを受けて、不本意ながらもFBIの任務を引き受ける。ところがアリシアとデブリンの関係を疑うセバスチャンは、アリシアに結婚を迫った。
本当はデブリンを愛しているのに、アリシアは仕方なくセバスチャンと結婚する。デブリンもアリシアを愛しているのに、そんな彼女の連絡係に徹する。ところがある事件をきっかけにして、アリシアがスパイだっことがバレてしまう。
毒を盛られて殺されそうになったアリシアを救ったのは、当然ながらデブリン。まぁ、葛藤しつつも、最終的には二人の恋愛は成就するという物語。
スパイ映画としてはツッコミどころが多すぎる。まったくの素人に潜入捜査をさせるのも変だし、依頼者と簡単に恋仲になるのも不自然。その後の連絡のやり取りも、いまのスパイ映画だったら失笑されるだろうwww
ただこの映画はスパイ映画風のラブロマンスだと考えるべき。そのつもりで観ると、とても素敵な作品だと思う。愛している女性がいるのに、恋人を他人に奪われるだけでなく、命の危険にさらしてしまう。デブリンの葛藤を考えると辛くて切ない。
一方、アリシアは好きでもない男と結婚しなくてはいけない。そしてバレたら命を奪われるかもしれない。デブリンと会うまでの彼女は、自堕落な悪女だった。だけどデブリンと出会ってことで生まれ変わったと自覚していた。なのに彼はそんな自分を認めてくれない。
『汚名』というタイトルは、そんな彼女の心の苦悩を表現したものだろう。スパイ映画という触れ込みと、ヒッチコックという名前に惑わされていた。この監督はこんな素敵な恋愛映画も撮れるんだね。
それにしてもイングリッド・バーグマンは魅力的な女優さんだなぁ。『カサブランカ』の彼女も好きだけれど、この映画の役どころのほうがハマり役だと思う。たまに古い映画を観るのもいいね。
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