同じ道を進めない男女の苦悩
映画館で一度見たきりで、絶対にもう一度観たいと思っていた映画がある。先日その作品がNHKのBSで放送されていたので、狂喜乱舞しながら録画した。まぁお金を出せばいくらでも観られるんだけれど、こうした偶然の再会が実にうれしいものだからね。
そして今日になってその映画を観た。映画館でも恥ずかしいくらい泣いたけれど、今日も妻に「このシーンが泣けるんだよ」といいながら涙声になっていたwww
2021年 映画#26
『アリー/ スター誕生』(原題:A Star Is Born)という2018年のアメリカ映画。写真のブラッドリー・クーパーとレディ・ガガが主演していて、ブラッドリー・クーパーは監督・脚本・制作も兼ねている。
これは『スタア誕生』という映画のリメイク。元々は1937年の映画で、1954年にジュディ・ガーランド、1976年にバーブラ・ストライサンド主演で映画化されている。設定やスターになっていくジャンルはちがうけれど、基本的なストーリーは同じ。ある業界で有名な男性が無名の女性を見出し、二人は恋愛関係になりつつ、無名の女性が有名となっていく物語。その反面、有名だった男性は落ち目となっていく。
ボクはこの過去作品をすべて見ている。もっとも好きだったのはジュディ・ガーランドが主演をした作品だった。ただ彼女の歌を聴いたとき、ふと頭に浮かんだ歌手がいる。それがレディ・ガガ。歌声の質がよく似ていて、レディ・ガガならぴったりの役じゃないかと思っていた。
だから彼女が最新のリメイク作に出演すると知ったとき、どれだけ喜んだことか。そして相手役がブラッドリー・クーパーだと知ってさらに歓喜。そして映画館で観て、ボクのなかではこの作品ではシリーズ最高作へと変わった。
なんていっても二人の演技がすばらしい。同じ音楽を志している二人。だけど男性は頂点から少しずつ下向きのベクトルへ。一方女性は最下層にいながらも上むきのベクトルを示している。
二人が出会ったのはその融合点。その瞬間は互いの想いが一致する。だけど正反対のベクトルは二人を引き離してしまう。世界的なミュージシャンとして認知されていくアリーに比べて、ジャックは酒とドラッグに溺れ落ち目になっていく。
だけどこの映画が素晴らしいのは、同じ道を進めない二人だけれど、互いへの愛を失うことがない。ベクトルは正反対でも、愛し合って求め合おうとする。その真摯な姿に心打たれる。
アリーは嘘をついてまで、ジャックのそばにいようとする。
そんなアリーを知って、ジャックは彼女を心から愛するゆえ、自分が彼女のキャリアを潰していることに絶望する。
その結果、二人に悲劇が訪れる。わかっているとはいえ、本当に切なくて悲しい。ジャックが自殺したガレージの前で、愛犬が所在なげにしている姿が痛々しい。
二人が愛し合っていたことがわかっているからこそ、ラストの追悼公演のシーンは本気で泣いてしまう。ジャックの遺作をステージでアリーが歌う場面で、先程の写真のシーンにオーバーラップする。あかん、思い出すだけで泣けてきた。
しばらくしたらもう一度みよう。だから録画を消去せずに置いてある。もう一度アリーとジャックに会いたいから。
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