高羽そらさんインタビュー

破れた期待が深い絶望を呼ぶ

理想と希望に燃えて現状を打破しようとしたのに、その期待が幻想だと思い知らされたときの絶望は深い。それが個人的なことでもかなりのショックなのに、国家がらみだと生きる気力を奪ってしまう。

 

10年ほど前に『アラブの春』と呼ばれる現象が起きた。軍事政権や独裁政権に対抗するため、中東の民衆たちが一斉に起こした運動。ネットを使った情報の拡散によって、その勢いは想像を超えるものとなった。

 

まさに現代社会における革命だった。その結果、多くの独裁者が世界の舞台から姿を消した。ただ『アラブの春』はさらなる混乱を招いた。その悪例となったのはシリア。独裁政権に代わって起きたのは内戦。多くの人が命を失い、大量の難民が周囲の国へとなだれ込んでいる。

 

そんななか、『アラブの春」の成功例として報じられていたチェニジア。独裁政権が倒れ、憲法の制定や民主的な選挙が実施されたことで、若者たちは自国の未来に希望を抱いた。だが10年が経過したいま、その期待が深い絶望へと変化している。

 

生きていても 死んでいるのと同じ

 

読んでいて胸がしめつけられるほどの辛い記事。チェニジアの海岸沿いに暮らす男性にインタビューしたもの。彼はここ10年、身元不明の遺体を海岸で埋葬している。その数はすでに400を超えているそう。

 

そのほとんどは若者で、なかには子供もいる。イタリアが近いチェニジアでは、海を超えて密航する若者が後を絶たない。無事に到着できればいいけれど、その途中で命を落とし、海岸に流れ着いてしまう。地元では『不明者の墓地』と呼ばれ、多くの若者たちが埋葬されている。

 

その理由は生きていけないほどの高い失業率。『アラブの春」が起きたきっかけは、若者に仕事がないことだった。ところが民主化されたのに、独裁政権時よりも高い失業率となっているとのこと。それゆえ絶望した若者が、生きるために密航をしている。短いインタビューの文章でさえ、チェニジアの人たちの苦悩の深さを突きつけられる。

 

「彼らを埋葬していると、時に気がめいりそうになります。貧困が進むにつれ、打ち上がる遺体も増えている気がします。人生を変えたいと思い、若者が危険を冒す。そして、『死の船』を選ぶ。それは、この国に未来がないからです。希望が持てない若者は、『死の船』に乗って、運よく状況を変えられるか、あるいは死ぬか。国に残っていても、もともと死人同然ですから、『死の船』に乗ることも、それほど大きな違いはないのです」

 

「みんな貧困で、死を恐れなくなりました。『生きていても、死んでいるのと同じだから』。こんな声も聞きます。だから、みんな海を目指す。生きてヨーロッパにたどり着ければ家族を助けられる。失敗して死んでも、家族の負担にならないから」

 

いったい『アラブの春』って何だったんだろう?

 

民主化しても改善されるどころか、以前よりも悪化している。まだ独裁政権のほうが良かったという結果になっている。この記事を読みながら、ミャンマーのことが頭に浮かんだ。

 

クーデターが起きたミャンマーでは、抗議のデモが激しくなっている。まるで『アラブの春」を彷彿とさせる。だけど一度はスタートしたミャンマーの民主化が、いとも簡単にひっくり返された。それだけの基盤が成長していなかったということなんだろう。

 

民主化は何よりも大切だと思う。だけどただ民主化するだけでなく、その後の国家をどのように運営していくかが肝心。強いビジョンと行動力を備えたリーダーがいないと、民主化しても意味がないということなのかもしれないね。悲しい記事だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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