命を預かる仕事に私情は禁物
仕事のパフォーマンスを一定レベルに保つためには、肉体だけでなく精神の健康も重要。プライベートでトラブルがあっても、そんな私情を仕事に持ち込まないのがプロ意識だろう。
ましてや携わっている仕事が人命に関わるものだったら、どんなときでも冷静な自分をキープできることが必要。今日観た映画は、そんな仕事に関わる人物が主人公だった。その仕事とは航空管制官。
2021年 映画#44
『狂っちゃいないぜ』(原題:Pushing Tin)という1999年のアメリカ映画。ジョン・キューザック、ビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェット、そしてアンジェリーナ・ジョリーというという豪華キャストにつられて観た作品。
ジョン・キューザック演じるニックは、ニューヨークの3つの空港を統括する航空管制官。優秀な人間で、彼の処理能力の右に出るものはいない。ケイト・ブランシェット演じる妻のコニーとも素晴らしい家庭を築いていた。
ところが新任の航空管制官によってニックの生活は一変する。ビリー・ボブ・ソーントン演じるラッセルは、他の空港で優秀な管制官だった経歴からニューヨークに引き抜かれた。ただ少し変人で、誰とも馴染もうとしない。
ラッセルを意識したニックは彼に接触するけれど、関係はこじれるばかり。そのうえニックの若い妻であるメアリーと関係を持ってしまったことで、さらに面倒なことになってしまう。そのメアリーを、この当時は無名だったアンジェリーナ・ジョリーが演じている。
ラッセルを意識するあまり疑心暗鬼になってしまうニック。ある事件が起きたことで、さらにラッセルの実力の高さを思い知らされる。やがて妻のコニーにメアリーとの関係を知られたことで、ニックの妻子は家を出てしまう。
そんな状況で管制官の仕事をするのはまずい。わずか30分で2度もミスをやらかし、もう少しで旅客機を衝突させてしまうところだった。そこでどうしても妻と子供たちを取り戻したいニックは、辞職してしまったラッセルに教えを請うという展開になる。
とまぁこんな映画で、とりあえずはハッピーエンドで終わる。ただ正直にいって最低の作品だった。キャストがいいのにこんな内容だということは、脚本と監督に問題ありだと考えるしかないかも。
まずどのキャラもあいまい過ぎる。行動に必然性がなくて、行き当たりばったり感が否めない。アンジェリナー・ジョリーなんて、最初から最後まで変な女の役だった。印象に残ったのはヌードシーンだけwww
さらに最悪だったのはエンディング。この映画は緊張した判断を求められる航空管制官が、仕事に私情を持ち込まないことがテーマになっている。ところがラストでニックは妻のコニーと仲直りするため、旅客機の機長に依頼して操縦室まで妻を呼び出している。
いくらコメディ作品だといっても、こんなことあり得ないだろう。操縦室に入って写真を撮っただけで炎上する世界なのに、自分の妻を呼び出してもらうなんてありえないし、本気で白けてしまう。仕事に私情を持ち込むべきでないのに、ラストで思いっきり主人公に勝手をさせている。
どう考えても納得できない場面だった。百歩譲って、主人公は私情を持ち込むことがやめられない、というブラックジョークだとしても笑えない。さらにもうひとつ苦言を呈するなら、この邦題はひど過ぎる。いったい誰が考えて、誰がオーケイを出したんだろう?
『狂っちゃいないぜ』と、自分自身にいっているようにしか思えないタイトルだよなぁwww
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