善悪の概念が麻痺するわ
映画というのは主人公の目線で楽しむ芸術。だから主人公が犯罪者だと、感情移入することで善悪の概念が麻痺してしまうことがある。
もちろん所詮はフィクションだから、概念そのものが上書きされるほどではない。それでも映画を観終わって冷静になると、とてつもない犯罪を普通に容認している自分に驚いたりするwww
ある映画を観て、久しぶりにそんな感覚を味わった。
2021年 映画#59
『PARKER/パーカー』という2013年のアメリカ映画。写真のジェイソン・ステイサムが主演というだけで、アクション映画だとわかる。まさに彼らしい、典型的なアクション映画だった。
ジェイソン・ステイサム演じるパーカーは腕利きの強盗。彼のルールは汚い金しか奪わない、悪党しか殺さない、仕事は完璧に美しく行う、というルールを自分に課している。その腕を見込まれたパーカーは、遊園地の収益金を狙うという強盗団に参加する。
見事成功したその帰り道、他の4人からこの金を元手にした次の仕事に誘われる。だけどこの連中を信用できないパーカーは断る。すると態度を豹変させた4人はパーカーに襲いかかり、彼に瀕死の重傷を負わせる。
運よく通りかかった農家の人たちに助けられたパーカーが、その4人に復讐するという物語。ただ困ったことに、4人のなかにシカゴのマフィアの甥っ子がいた。パーカーが甥っ子の命を狙っていることを知ったマフィアのボスは、彼だけでなく彼の友人や恋人たちに殺し屋を差し向ける。
とまぁ、いかにもありがちな展開。4人組が狙っていたのは、パームビーチで行われる宝石のオークション。そこでパーカーは4人の行動を探るため、地元の不動産屋に接触する。ここで登場するのがジェニファー・ロペス演じるレスリーという不動産会社の女性。
レスリーは人生のどん詰まりで、このままでは何もかも失いかねない。やがてパーカーの正体を知った彼女は、4人組への復讐を手伝うことにする。その報酬は4人から横取りした宝石を換金したもの。このレスリーがおちゃらけキャラなので、シリアスなアクション映画にちょっとした笑いを添えている。
パーカーのことが好きになったレスリー。だけど彼は恋人を絶対に裏切らない。それでも命を張って手伝うことで、結果として4人が奪った宝石をパーカーと共に手に入れることに成功する。1年後に報酬としてパーカーが送ってきた現金は、一生遊んで暮らせるほどの大金だったというオチ。もちろんパーカーは命を救ってくれた農夫にもお金を届けている。
パーカーは恋人も友人も守り切るし、裏切った4人を殺したあとに、シカゴのマフィアも全滅させてしまう。強すぎるし〜〜www
ただよく考えたら、パーカーはかなりのワル。遊園地で強盗するし、パームビーチでは殺人だけでなく宝石も横取りしている。なのに彼の行動に思わず拍手喝采を送ってしまうのは、映画のマジックにハマって善悪の概念が麻痺しているからだろう。
しばらくして冷静になったら。そんな自分がバカ過ぎて笑えてしまった。
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