話好きを黙らせると爆発する
スティーブン・キングらしくない小説を読んだ。中途半端過ぎて、何をいいたいのかわからない。はっきりいって、物語として雑すぎる。
その理由がわかって、かなり笑ってしまったwww
2021年 読書#38
『人狼の四季』スティーブン・キング著という小説。
タイトルでわかるように狼男が登場する物語。構成が変わっていて、1月から12月までの12章に分かれている。
最初の1月を読み始めてビックリした。とにかく短い。ほんの数ページで終わってしまう。鉄道の信号手が狼男に殺されるまでの出来事。そのパターンで2月、3月と続くけれど、どうにもピンとこない。やはり短くて、ストーリーとしてちっとも面白くない。
物語の舞台はメイン州のターカーズ・ミルズという架空の町。この町で毎月被害者が出てくる。やがて街では噂となり、満月の夜は外出する人が少なくなってくる。先に結論を書いてしまうと、車椅子の少年であるマーティは狼男に襲われるけれど、爆竹を持っていたことで助かった。
マーティは唯一の目撃者で、その爆竹によって狼男は負傷した。だからマーティは誰が狼男なのかに気づく。それは街の牧師で、最終的にマーティは叔父に頼んで銀の銃弾を用意することで狼男を倒すという物語。
とにかく中途半端。半分くらいまでは短い文章が続くけれど、途中から急に説明がましくなってくる。それでも文章が足りない印象で、なぜ牧師が狼男になったかや、マーティたちの人物像もあいまいなまま。とにかくスティーブン・キングらしくないったらありゃしないwww
読み終わってから解説を見て納得。この文章はバーニ・ライトストンという画家のイラストカレンダーとしての企画だったらしい。だから1月から12月に分かれている。カレンダーに添える文章なので短い内容だった。
ところが普段から文章量の多いスティーブン・キング。文章のおしゃべりである彼は、そんな短い内容に耐えられなかった。だから後半になるにしたがって文章量が増え、結果として中編小説として発表されることになったらしい。
要するに途中で我慢できなくなった著者が爆発したということ。
ところが時すでに遅し。いくら後半で設定を付け加えても物語に深みは出てこない。そのまま最後まで書いてしまったということらしい。著者のネームヴァリューがあったから出版されたものなんだろうね。
まぁある意味面白い物語だった。スティーブン・キングが本気で書いた人狼小説を読んでみたい気がするけれど、これはこれでいいのかもね。
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