明晰夢にできない夢の意味
就寝中に見ている夢を明晰夢に移行させるには、いくつか方法がある。具体的な方法は『夢で会える 体外離脱入門』という本に書いているので、ここでは同じパターンの夢から気づくという方法だけ紹介しておく。
夢日記をつけるとわかるけれど、夢にはいくつかのパターンがある。詳細なシチュエーションはちがうけれど、本質的な部分を突き詰めていくことで夢をパターン化できる。そしてそのパターンを意識することで、明晰夢へと移行することが可能となる。
ボクの例を二つほどあげておこう。そのひとつは不思議なトイレ。夢のなかでトイレに行こうと思うことがある。だけど夢のトイレって、普通じゃないことが多い。そのことを強く意識していると、変なトイレを体験するだけで自分が夢を見ていることに気づくことができる。
もうひとつは階段を駆け降りる夢。何かに追われて逃げている場合が多い。最初は階段をひとつずつ降りていくけれど、少しでも早く逃げたいから段を飛ばすようになる。そのうちジャンプ力がついてきて、階段の踊り場から次の踊り場まで飛べたりできる。そこで夢だと気づくことが多い。
そんなパターン化された夢のなかで、ボクがどうしても明晰夢に移行できない夢がある。この前からその共通点を考えていて、なんとなくその理由がわかったような気がする。
そんな夢のいくつかを紹介しよう。過去にやっていた仕事関係の夢が多い。
・会社の給料日が明日なのに、従業員の給料計算も銀行への出金依頼もできていない夢。
・月末が担当先の企業の確定申告時期なのに、まったく決算ができていない夢。あるいはすっかり失念していて残り日数がないことに気づく夢。
・数ヶ月も金庫の現金と現金出納帳の残高を照合していない夢。
・ギターを手にしてステージに上がっているのに、セットリストをまったく記憶していなくて焦る夢。あるいはまったく練習していないという夢。
・舞台に上がって芝居に出演するのに、セリフをまったく覚えていないことに気づく夢。必死で台本を探すけれど見つからない。
というような夢を定期的に見る。本当に何度も見る。だけど夢だと気がつかない。最後までその現実を体験して、目が覚めてからホッとしている。
これらの夢に共通していることを抜き出すと、そこにボクが抱えている『恐れ』が浮き彫りになってくる。
『やるべきことを、やっていない』という恐怖。これに尽きるような気がする。
おそらく顕在意識でも、そして潜在意識でも恐れていることなんだと思う。ボクが普段からもっとも避けたいと思っていることであり、やるべきことをやっていない自分を嫌っているんだと思う。それも中途半端ではなく、相当強い意識でそう感じている。
だからパターン化しているにも関わらず、夢だと見破ることができない。夢だと思えないほどショックで、心が打ちのめされているからだろう。衝撃が強すぎて夢だと思う余裕が持てないんだと思う。
こうして考えてみると、明晰夢にできない夢というのは貴重。自分の『恐れ』を知るだけでなく、裏がせばそれは『売り』でもあることがわかる。『やるべきことをやっていない』ことを恐れるから、『やるべきことをやろうとする』ということ。
将来的にこのパターンの夢から明晰夢へと移行できるようになれば、ボクはその恐怖を昇華できたということだろう。明晰夢には、人間の意識向上の進捗度をチェックするという効用もあるのかもしれないね。
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