死、愛、時間への手紙
感動で心がしびれる映画は数え切れない。どの作品も人間の心に寄り添い、ボクたちが見失っているものを引き出して癒してくれる。
そんな素敵な作品たちのリストに新たな映画が加わった。こんな気持ちのいい涙を流したのは久しぶり。クリスマスの奇跡を描いた作品だけれど、半年も待っているのはもったいないから、いますぐ観たほうがいいよ〜!
2021年 映画#84
『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)という2016年のアメリカ映画。写真を見ればわかるとおり、主演のウイル・スミスに加えて、エドワード・ノートン、ケイト・ウインスレット、キーラ・ナイトレイ、ヘレン・ミレン、ナオミ・ハリス等という、誰が主役をやっても不思議でない豪華キャスト。
これだけの俳優たちがそろったら、どう考えても最高の映画になるのはわかる。もちろんそのとおりなんだけれど、この映画の素晴らしいのは全体の構成。これが見事にハマっていて、最後のオチに接したら感動で涙が止まらなくなる。
まだ観たことがない人に感動して欲しいので、ネタバレはしない。ただその構成の素晴らしさだけを紹介しておこう。
ウィル・スミス演じるハワードはある企業のCEO。ところが6歳の娘を亡くしたことで、まるでゾンビのようになっている。このままでは会社の経営が行き詰まってしまう。そこで友人であり、かつ共同経営者である人物が立ち上がった。
エドワード・ノートン演じるホイット、ケイト・ウインスレット演じるクレア、マイケル・ペーニャ演じるサイモンの3人。ハワードに経営を維持する能力がないことを証明して、会社をいい値段で売却するのが目的。
うつ状態のハワードが手紙を書いた。それは人物ではなく、娘の命を奪った抽象的な存在である、『愛』、『死』、『時間』という概念。そこでホイットは3人の俳優たちに出会い、その3つの概念を演じてもらうことを依頼する。つまりハワードに手紙の返事をするということ。
人間ではない概念が姿を見せたなら、ハワードが会社を経営するのは無理だと感じるはず。それがホイットたちの狙い。そこでヘレン・ミレン演じるブリジットが『死』、キーラ・ナイトレイ演じるエイミーが『愛』、そしてジェイコブ・ラティモア演じるラフィが『時間』に扮することになった。
もちろんハワードが癒される過程がこの映画の中心テーマ。ところが彼の3人の友人たちもその癒しに強く影響される。この構成が見事だとしかいえない。
離婚したことで娘との『愛』に問題を抱えていたホイットは、『愛』に扮したエイミーと協力する。
仕事に打ち込んできたことで家族を持つ『時間』を失ったと感じているクレアは、『時間』に扮したラフィとチームを組む、
そして末期癌で『死」に直面しているサイモンは、『死』に扮したブリジットとタッグを組む。
つまりハワードの再生の進行にともなって、友人の3人も自分が抱えている問題に向き合っていくことになる。この構成のうまさには脱帽するしかない。
そして最後の最後に、『死』と『愛』と『時間』の正体がわかる。この段階でボクは号泣してしまった。その正体を知りたい人は、是非ともこの作品を観て確認して欲しい。絶対にもう一度観たいと感じる作品だった。
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