やっとスタートラインに来た
できるだけ偏らないインプットを心がけているので、電子書籍では出会い頭に小説をチョイスしている。なかにはそれがきっかけでシリーズを読むようになった作品もある。だけど、いつもそんな風にはいかない。
2021年 読書#56
『グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行』高野史緒 著という小説。
出だしはとてもいい雰囲気。昭和4年に世界一周をしていた飛行船のグラーフ・ツェッペリン号は、5日間ほど日本に滞在したことがあった。主人公の女性は子供のころにその飛行船を見たという記憶があった。だけど現代人の彼女がそんなものを見るわけがない。
ところが従兄弟に神童と呼ばれた研究者がいて、量子コンピュータとVRを駆使することでその状況を再現しようとする。その実験に参加した主人公が、昭和4年の世界へとスリップするという物語。SFでありファンタジーでもある。
ただ結論からいえば、最後まで読んで何も感じるものがなかった。申し訳ないけれど、物語として心に響かなかった。ちょっと残念な出会いだったなぁ。
このままではブログがさびしいので、もうひとつの読書メモを残しておこう。
2021年 読書#57
『アウトロー』上巻 リー・チャイルド著という小説。トム・クルーズが主演したことで知られている『ジャック・リーチャー』シリーズの原作。全体では9作目にあたるけれど、邦訳としては5作目となる。
映画を観てジャックのファンになったことで、原作を追いかけている。この『アウトロー』は初めて映画化された作品。だから第1段から原作を追いかけて、やっと映画化されたこの作品に追いついた。スタートラインに立った気分。
ストーリーは知っているので、原作ゆえの楽しみを追いかけている。映画とちがって詳細に書かれているし、もともとジャック・リーチャーのキャラ自体が原作と映画ではずいぶんとちがう。だからトム・クルーズのジャックをイメージして読んでいると、そのギャップがかなり面白い。
原作のジャックは映画とちがって硬派じゃない。そこだけでも楽しい。この作品で起きたある事件に関して軍隊の元上官が街にやってくるけれど、かつてジャックと肉体関係のあった女性上官だったりするwww
このあたりは映画のジャックしか知らない人いは違和感があるだろう。それでも最初の映画化作品となっただけあって、この作品は本当によくできている。冤罪問題をテーマにしているけれど、この上巻では誰も冤罪だと気づいていない。小説らしい引っ張り方だと思う。
当然なんだけれど、やはり映画より原作のほうが面白い。そのちがいについては、下巻を読了したときの感想に書こうと思う。ちなみに文庫本の表紙はトム・クルーズになっている。これは営業の判断だろうけれど、原作のジャックファンならいい気持ちはしないだろうなぁ。まぁ、売るためだから仕方ないか。
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