ブレる主人公に共感できない
物語における最優先事項は、登場人物の誰かに共感できること。つまり『推し』が存在しないドラマは面白くない。プロ野球だって応援しているチームがあるからこそ真剣に試合を見ることができる。ちなみに今年のタイガースは優勝するで〜〜！！！
共感できる相手は主人公でなくてもいい。そして悪役だってかまわない。とにかく応援したいと思えることが大切。ところが今日観た映画はまったく『推し』が登場しない。その理由は優柔不断すぎてブレブレだから。バカでもクレイジーでも、徹底している人物なら共感できる。
だけど今日の作品は完全に脚本ミスだと思う。悪徳警官が主人公なんだけれど、どうせやるなら悪に徹しろよ、という苦言しか出てこなかった。
2021年 映画＃89
『ダーティー・コップ』（原題: The Trust）という2016年のアメリカ映画。写真のニコラス・ケイジとイライジャ・ウッドが共演している。ボクの記憶にあるイライジャ・ウッドは『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドなんだけれど、少し年齢を重ねていい雰囲気になっているね。
二人の演技は申し分ないけれど、脚本自体にどうも納得できない。二人が演じているのは警官。鑑識や証拠保存の担当で、ニコラス・ケイジが演じているストーンが上司にあたる。イライジャ・ウッド演じるウォーターズは、部下であると同時に親友でもあるストーンとは気心がしれている。
ある日ストーンは気になる調書を見つける。麻薬の売人が釈放されていたけれど、多額の保釈金を現金で払っている。おそらく背後に大金を有する組織があるとにらんで調査する。そしてその組織の金庫を見つける。
二人は協力して金庫破りを計画する。問題はその金庫が保管された上階に住んでいる人間。金庫に穴をあけるためにはその住人が邪魔。変装してその住人を拘束するつもりが、女を連れ込んでいた。その結果ストーンは住人の男を殺してしまう。女は拘束したままで仕事を遂行する。
その金庫にはとてつもない量の宝石が隠されていた。さらにその上階の住居には戦争ができそうなほどの武器が隠されている。かなりやばい組織だと感じたウォルターズは計画を中止するように進言する。だけどストーンは大反対。
結果としてストーンは宝石を奪うだけでなく、顔を見られた女を殺そうとする。悪人になりきれないウォルターズはストーンを殺し、女を逃がそうとする。だけどその女のほうが上手で、仲間に連絡されたことでウォルターズも殺されしまうというエンディング。
とにかく二人の警察官が中途半端すぎる。完璧な計画を立てた割には、いざとなったら腹のくくりがイマイチ。ストーンは男を殺したなら、同時に女も始末しておくべきだった。そうすれば仲間に連絡されることもない。
ウォルターズも大量の宝石と武器を見ただけでビビるのは不自然。そんな肝っ玉なら、最初から金庫破りなんてやろうと思わないはず。急にやめようといいだすのを見ているだけでイライラしてきた。とっととやってしまえよ、と怒鳴りたくなったwww
映画の前半にそうなる仕込みがあればいいけれど、土壇場になって尻込みするのに納得できない。モヤモヤしただけの作品だったなぁ。
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