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高羽そらさんインタビュー

明晰夢の試練が現実を変えた

明晰夢の最大の効用は、自分の潜在意識を客観視できるということ。夢の世界は自我の制限が少しゆるくなるので、普段の自分が意識していない心の奥が可視化される。心の奥で見えずに抱えている恐怖が幽霊となったりするのがいい例。

 

そんな明晰夢の効用を物語に仕立てた作品を読んだ。

 

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2021年 読書#63

『ひなこまち』畠中恵 著という小説。妖怪が大活躍する時代小説の『しゃばけ』シリーズ第11弾の作品。今回も短編集だけれど、第1弾からのエピソードが確実に引き継がれていて、連続ドラマのような構成となっている。5つの短編のタイトルを紹介しておこう。

 

『ろくでなしの船箪笥』

 

『ばくのふだ』

 

『ひなこまち』

 

『さくらがり』

 

『河童の秘薬』

 

という5つの短編。毎回書いても意味がないので、登場人物等が気になる人は『しゃばけ』で検索するとくわしく書かれているので参照を。今回は冒頭に序文があり、それが最後まで影響してくる。

 

主人公の一太郎は偶然にある木札を手にする。「助けてほしい」と書かれていて、期日が翌年の5月10日となっている。ただし誰を助けていいのかわからない。一太郎の周囲にいる妖怪たちに訊いてもわからない。とりあえず一太郎はその木札を大切にして手元に置いておく。

 

そして物語が始まるわけれだけれど、一太郎に対して誰かが助けを求めるという展開になる。その木札のことが頭にある一太郎は、いつかはその木札の持ち主につながることを信じて、目の前の困りごとに知恵を絞っていく。

 

助ける相手は親友だったり、悪夢を食べる獏だったり、河童だったり、本名を知らない武家だったり、その妻だったりする。とにかく今回のキーワードは、獏と河童。つまり獏が食べている夢の世界と、河童の超能力が関係してくる。

 

最初の物語で河童を助けたことで、一太郎は関東の河童を統率する力のある河童に秘薬をもらう。ほれ薬だったり、痛みを五倍にするけれど一瞬で怪我を治す薬だったり、人生を賭ける試練を与えられるけれど夢が叶うという薬だったりする。

 

今回の5作品に共通しているのは、江戸の街中を騒がしている美人コンテスト。ある大名に子供がいない。そこで雛人形のモデルとなる美人コンテストを開催することで、最終的に選ばれた女性を大名の側室候補とするため。そのために玉の輿を狙う若い女性が殺到する。

 

ところが最後の『河童の秘薬』という短編で美人コンテストの秘密がわかる。一つ前の『さくらがり』である武士が一太郎に相談した。妻が離縁して出家すると言ってきかない。愛する妻と離れたくないので、偶然出会った一太郎に助けを求める。そして結果として、一太郎は河童にもらった薬を渡す。

 

その武士が美人コンテストを主催している大名だった。つまりお殿様。子供は生まれたが亡くしたことで、周囲は側室を持つように説得した。そしてそのコンテストになった。だけど妻を愛するその大名は気乗りがしない。そして願いが叶うという薬を妻に渡した。

 

その妻が飲んだ薬によって、一太郎たちはその妻の夢の世界に引き込まれてしまう。試練を受けることで、願いを叶えるという薬だった。最後の物語は、その妻の明晰夢の世界となる。ある小さな子供が失踪したことで大騒ぎとなる。その妻は子供を助けるため、命懸けの行動に出る。それこそが明晰夢での試練だった

 

そして現実世界に戻った一太郎は、大名の妻が子供をみごもり、美人コンテストが中止となったことを知る。それがなんと5月10日だった。最初の木札は、夢の世界からその妻が一太郎に託したものだったというオチ。

 

相変わらず妖怪たちが大活躍する。そしてその数が、巻を重ねるごとに雪だるま式に増えてくる。だから物語がさらに膨らみ、いつも賑やかで楽しい気持ちになることができる。まだまだシリーズは続くので、当分は妖怪たちの活躍を楽しめそう

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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