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高羽そらさんインタビュー

武器は恐怖を超えた仲間意識

スティーブン・キングの作品には様々な悪役が登場する。『シャイニング』のように父親が悪霊に取り憑かれる場合もあれば、『ミザリー』のように元からヤバい悪役もいる。だけど著者の書く悪役でもっとも多く登場するのは、異次元からやってきた化け物たち。

 

なかでも悪役キャラとしてもっとも印象深いのは、『IT』に登場するピエロのペニーワイズだろう。この『IT』は1990年に映画化されている。ボクはその作品を観たけれど、原作の良さがあまり出ていないように感じた。

 

ところが2017年にリメイク作品が公開された。チャプター1とチャプター2に分かれている。チャプター1を観たボクは、これこそ『IT』だと感動した。だからチャプター2がサブスクリプションに登場するのを心待ちにしていた。その続編をようやく観ることができた。

 

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2021年 映画#119

『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』という2019年のアメリカ映画。チャプター1は2017年に公開されて、その2年後にこの続編が公開となった。写真は楽しそうに見えるけれど、この6人にはこのあと試練が待っている。

 

『IT』という作品を簡単に説明しておこう。メイン州の架空の街であるデリーで、子供たちが行方不明になる事件が続発する。それはペニーワイズというピエロの姿になった怪物の仕業。主人公の一人であるビルの弟のジョージは、このピエロによったバラバラ殺人の犠牲になっている。

 

このデリーの街で『ルーザーズ』と呼ばれる7人の少年少女がいた。この7人が協力することで、ペニーワイズをやっつけるというのが物語の前半。ところがペニーワイズは完全に死んでいない。7人によって一時的に力を奪われただけだった。

 

ペニーワイズは27年周期で登場する。この少年たちが生まれる27年前にはも同じ出来事があった。だからルーザーズのメンバーは、もし27年後にペニーワイズが戻ってきたら、今度こそは息の根を止めようと誓っていた。その27年後がこのチャプター2の物語となる。

 

原作では27年後から始まり、その経過を追いながら27年前の事件が語られていく。だけど映画では混乱するから、完全に分けたのだろう。この『ルーザーズ』には紅一点の女性がいる。ベバリーという女性で、27年後のベバリーをジェシカ・チャスティンが演じている。ボクがこの映画を観たいもう一つの理由は、彼女がベバリーを演じたから。

 

まだ新しい映画なのでネタバレはやめておく。だけど原作を知っている人でも、少し展開がちがうので楽しめると思う。いやもしかしたら、この映画は先に原作を読むほうがいいと思う。原作を知らずに単なるホラー映画として観ていると、このチャプター2はやや退屈に思える時間が多いかもしれない。

 

ペニーワイズという化け物には『記憶』が大きく影響してくる。27年前の少年少女たちは、やがてデリーを離れて生活をする。それはペニーワイズの恐怖から逃れるためでもあった。デリーに残ったのはマイク・ハンロンという黒人男性だけ。

 

ところがデリーを離れると、ペニーワイズに関する記憶を失ってしまう。だからマイク以外の人間は、『それ』が現れたとマイクから電話をもらっても、マイクが誰であるかも忘れている状態だった。だから記憶をさかのぼることが映画のテーマとなっていく。

 

ここが物語の醍醐味なんだけれど、原作を知らない人には冗長に感じるかもしれない。ところが先ほどの写真を見て、あれ6人しかいない?と思うかもしれない。実は記憶を取り戻したスタンリーは、デリーに戻るのを恐れて自殺しているから。

 

ペニーワイズは幻覚を見せることで恐怖を与えてくる。それによって獲物を襲う。だから6人は恐怖を克服することで団結するしかない。それがペニーワイズに対するたった一つの武器だった。

 

映画は残念ながら原作の面白さには及ぼないし、『記憶』の扱いについてもラストは原作と異なってくる。どちらか好みかによって、その人の『記憶』に対する想いが見えるような気がする。ちなみにボクは原作の『記憶』の扱いのほうが素敵だと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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