豆腐で知ったコンテナの謎
我が家のダイニングからは、JR神戸線の住吉駅から六甲道駅までの線路がよく見える。毎朝同じ時間に線路をながめているので、時計を見なくても列車の動きでほぼ時間がわかる。トラブルで運転の見合わせや遅延が出ていても、そうであろうことはすぐに想像できる。
ただコロナ禍以降、少し列車の様子が気になっていた。それは貨物列車。明らかにコンテナの数が減っている。貨物列車の長さは同じだけれど、ところどころ歯抜けのようにコンテナが積まれていない車両が目立つ。極端なときだと、貨物車の全長でコンテナを積んでいる車両の方が少ないこともあった。
おそらくコロナ禍で物流が滞っているのかな? そんなふうに想像していた。
だけどよく考えたら、自宅待機が増えたことで、むしろ物流の需要は増しているはず。外食が減り、スーパーで食材を求める人も増加しているだろう。だったらもっと活発にコンテナが利用されていても不思議じゃない。なのになぜコンテナが減っている?
もしかしたらその答えが分かったかもしれない。それは豆腐が教えてくれた。
ここ30年は価格が据え置かれてきた豆腐。あれほど安くて栄養価の高い食品はない。ところがそんな豆腐がついに値上げされる見込み。それは大豆の高騰が理由なんだけれど、それ以外にコンテナも関係しているという記事。
豆腐とコンテナ? そんな不思議な関係が気になって、この記事に目が止まった。
農林水産省によると、豆腐はここ10年ほど値下がりが続いていたそう。それがついに値上げの方向へと舵を切った。まずは国産大豆が値上がりしたから。コロナによる健康志向の高まりで、大豆や納豆の消費が増えた。ところが今年の夏の長雨で生産量が減少。当然ながら値段が高騰している。
日本における大豆の80%を占める輸入大豆も、中国の輸入増加、バイオ燃料としての需要の高まりなどが影響して、アメリカで価格が高騰している。その輸入大豆の高騰に輪をかけたのがコンテナ不足。
ボクも最初は意味がわからなかったけれど、じっくり記事を読んでようやく理解できた。
従来の貿易の流れだと、中国からコンテナに積まれた商品が貨物船でアメリカに輸出される。そのコンテナに大豆を積んで、アメリカから日本まで運んでいた。そしてそのコンテナに商品が積まれて中国へと移動する。この循環が上手く機能していた。
ところがアメリカでコロナが収束してきたことで、個人消費が一気に増加。中国から大量の輸入品が届けられることになった。当然ながら競走となるので、一気にコンテナの輸送料金がアップ。コロナ感染拡大前に比べて6倍になったらしい。
だけどアメリカから日本へ向かうコンテナ料金は安いまま。中国からアメリカのルートに比べて4倍以上の開きがある。だから船舶会社としては利益を上げるため、中国からアメリカへの輸送に専念することにした。
だからアメリカから空っぽのコンテナを運び、そのまま中国へUターンしてしまう。日本へ大豆を運ぶよりも、結果としてそのほうがコスト削減と売上アップに繋がるから。だから日本への輸入大豆は減るし、コンテナが入ってこない。当然ながら輸入大豆は高騰する。
需要はあるのにコンテナが不足しているので、ますます輸送コストが上昇する。つまり大豆を運ぶ単価が上がるので、これまた値段が高くなる。ということで結果として豆腐が値上げされるということになったらしい。
かなり面白い記事だし、とても勉強になった。何より貨物列車にコンテナの少ない理由が分かったかもしれない。豆腐が値上がりするのは残念だけれどね。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする