監視と防犯の線引きは?
先月の24日に東京都港区で男性が硫酸をかけられる事件が起きた。個人的な怨恨による犯行だったので、容疑者の特定は早かった。28日には容疑者が逮捕されている。
ただ容疑者の絞り込みが早かったとはいえ、スピード逮捕が実現したのはあるシステムを使ったからとのこと。
「硫酸男」スピード逮捕のウラで…実はJRが「顔認証カメラ」を導入していた
推測に過ぎないけれど、容疑者逮捕に貢献したのがJRの導入している「顔認証カメラ」らしい。オリンピックに備えて導入されていたそう。どのようなものか記事から抜粋してみよう。
「駅名は明かせませんが、約110の駅のコンコースなどに設置したおよそ5800台の監視カメラの一部に、顔認証機能を搭載しました。マスクをつけていても、不審者の顔を判別できる能力があります」(JR東日本広報)
このコメントを見ている限り、かなり高性能のAIを使用している気がする。世界的な視点で見れば、いまさら驚くようなことじゃない。むしろ日本はこの点に関して後進国だと思う。だから他の鉄道会社でも導入を進めていくべきだろう。
ボクは基本的にこうしたシステムの導入に賛成。自動車のドライブレコーダーを含めて、犯罪や事故の証拠となる映像を残すことは必要だと思う。後めたいことをしている人でなければ、公共の場所で撮影されることはさほど気にする必要がないはず。
ただしその映像の管理や運用に関しては、なんらかのガイドラインが作るべきだと思う。野放しにしてしまうと、権力者に悪用されてしまう。中国は「顔認証カメラ」について最先端の国だといっていい。だけど運用に関しては中国政府が仕切っているので、防犯という域を超えて監視社会のアイテムとして使われている。
この記事によると、JR東日本が設置したシステムに関して、映像データを管理・チェックしているのはJR東日本が委託している警備会社とのこと。さすがにこれはちょっと気になる。集めた顔認証のデータが漏洩したり、心ない社員によって転売されてしまう心配がある。
監視と防犯の線引きは難しい。だけどこうしたデータに関して運用規則を定めておかないと、事件が起きたときに適切な証拠として使用できないことになってしまう。政府や警察はデータの加工や漏洩に関して明確な罰則規定を設け、保存期間や証拠としての提出手続きをきっちりと定めたほうがいいよね。
行方不明の人を探す探偵業の人なら、このシステムのデータを使いたいだろうなぁ。そしてDVから逃げた家族を探している暴力男、あるいは特定の人間を追いかけているストーカーも使いたいはず。つまり顔認証データは『売れる』ということ。だからこそきちんとしたガイドラインが必要になると思う。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする