デジタルでわかる所有の真実
デジタル社会となって、実態の見えないものが取引されるようになった。その代表的なのが暗号通貨。
ボクはイーサリアムをいくらか持っているけれど、当然ながら手にとって見たことはない。自分のウォレットに存在しているという、デジタル表示で認識しているだけ。
もっとわかりやすい例でいえば電子書籍がある。ボクが子供のころの本は、紙に印刷された物体のみだった。だから売ることもできれば、他人に貸すこともできる。でも電子書籍が認知されるようになって、従来の書籍のあり方が変化している。
そんな電子書籍の落とし穴が記事になっていた。たしかに怖いことだけれど、デジタル社会になったことで、『所有』という概念の本質がようやく明らかになったと感じている。
「4000冊の蔵書が一瞬で吹っ飛んだ」 電子書籍の落とし穴 ── あなたは購入していない
タイトルだけ見ると、とても怖い出来事。だって4000冊分の電子書籍の金額を考えると、かなりゾッとする。ただこの出来事に関しては、自業自得というしかない。
リンク先の記事によると、ある人物がAmazonのKindleで購入していた電子書籍が読めなくなった。4000冊ほどあったらしい。その理由はAmazonによってアカウントが凍結されたから。この人はAmazonギフト券を格安で購入して、それで電子書籍を買っていた。
これはAmazonの規約に触れるとのことで、アカウントが凍結されたそう。だから自分のものだと思っていた本が、一瞬で消えてしまった。もしこれが紙の本だとしたら、格安ギフト券の購入であっても本を没収されることはない。なぜなら本の所有権がその人にあるから。
つまり電子書籍に所有権はない。Amazonで売っているのは、書籍の『利用権』だということ。これは他の会社の電子書籍でも同じ。だから規約違反、あるいはサービスの停止によって、所有していたつもりの電子書籍が消えることはある。これは以前から問題となっていた。
電子書籍データをPDFに変換すれば消えることはない。だけどこれもAmazonの規約違反となる。だからもし完全に電子書籍を所有するとなれば、NFT(Non-Fungible Token)を使うしかない。
これはデジタルデータの履歴証明が、暗号通貨のブロックチェーンで可能となることを応用したもの。唯一無二であることの証明となるので、最近では有名ミュージシャンの関連物品を、本人の証明をつけて出品したりしている。これには所有権が発生するので、電子書籍に応用すれば自分のものとすることができる。実際にそうした電子書籍を販売している会社も出てきているらしい。
でもNFTを使ったところで、『所有』の実態は変わらない。自分のものである、という自己満足を充足させているだけ。リンク先の記事の出来事のように、一瞬で所有物が消えてしまうことがある。それは紙の本だけでなく、家や土地という不動産も同じ。それが何かわかるだろうか?
それは人間というプラットフォームが使用できなくなること。つまり『死』という現象。
どれほど多くの物を所有していても、数分後に交通事故にあって命を落としたら全てが消えてしまう。あの世に持っていける『物』なんて何もない。だから『所有』というのは、あきらかな『幻想』だということ。それが本質だと思う。
唯一あの世に持っていけるのは、人間の『想い』だけ。だからどうせ『所有』するのなら、少しでも心温まる『想い』を集めるほうがいい。これなら確実に持っていける。だから『物』を所有したいという願望によって、誰かを傷つけたという『想い』は少しでも減らしたい。そんなもの持って行きたくないからね。
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