陰謀の全貌が明らかに
決してブレない前提と完璧な伏線回収。これはシリーズ作品に欠かせない要素だろう。そして読者はその完璧な仕掛けに感動して、ますますのめり込んでいく。あまりの大作ゆえに、どこかでほころびが出てきそうな作品がある。ところがそんな不安を吹き飛ばすほど、完璧な物語を継続しているシリーズ作品を読んだ。
過去作品からずっと追いかけてきたけれど、ついにリーチをかけることになった。次の1冊を読むと、新しい続編が登場するまで待たなければいけない。
2021年 読書#125
「十二国記 白銀の墟 玄の月」第三巻 小野不由美 著という小説。1991年からスタートして、2019年までに16の作品が世に出ている『十二国記』シリーズ。この小説はその16作目にあたり、全部で4巻の構成となっている。第二巻の感想については『背後に潜む深い魔の気配』という記事に書いているので参照を。
いつも書いているように、この作品のストーリーについてブログで書くのは無理。壮大な物語なので、過去のストーリーを説明するだけでいくつもブログを書く必要がある。それゆえボクの読書記録として簡単に触れておこう。
とにかく面白過ぎる。この第三巻によって、ようやく王の位を簒奪した経緯と意図が明かされた。ということで第四巻のエンディングに向かうお膳立てができたのだろう。その第四巻を読み終えてしまうと、新しいシリーズ作が登場するまで待たなくてはいけない。2019年が最後なので、もうすぐ出るのかなぁ。
登場人物名を書いても知らない人には意味がない。知っている人はすでに読んでいるだろうしね。だからこの世界の前提を紹介することで、物語の概要を記しておこう。
この十二国は、それぞれに王がいる。王を指名するのは麒麟という生き物。麒麟は天命によって王を指名することで、その王の補佐として政治に関わる。つまり正式な王になろうとすれば、麒麟の指名が絶対に必要となる。
この物語の舞台となっている戴国の王は部下に裏切られた。ただし裏切り者は王を殺していない。王を殺せば麒麟によって新しい王が指名される。ということは裏切り者が王になれる可能性はほぼゼロ。
だから裏切り者は王に襲い掛かり、古い坑道に閉じ込めることで実質的な幽閉とした。そして麒麟が新しい王を指名できないように、その能力の象徴である角を切ってしまった。これしか裏切り者が王座に就く方法がない。もし麒麟を殺せば、新しい麒麟が新しい王を指名することになるから。
この第三巻でようやくこの裏切り者の意図が明かされた。それゆえ王を探していた部下たち、そして王宮に苦渋の末に戻った麒麟がそれらの事実を突き止める。そしてようやく実質的に幽閉されている王の居場所がわかった。
この第三巻のラストでは、王を救おうとする旧臣たち、そして落盤で行方不明となった王を見つけて、王の位を禅譲させようとする裏切り者の兵士が同じ場所に向かうところで終わった。いよいよクライマックスが近い。
簡単に書いているけれど、最初に書いたようにブレない前提と伏線回収が完璧。過去の物語との関連も影響を及ぼしているので、ずっと追いかけてきたファンにはたまらないだろう。とりあえず次の第四巻で追いついてしまうけれど、結末が気になっているので近いうちに読もうと思っている。
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