いじめの加害者をどうする?
子供のいじめ報道を見ると、いつも思い出すことがある。小学校時代の経験。
小学校5年生のとき、Yさんという女子がいじめの対象となっていた。いまほど露骨ないじめではなかったけれど、同性の女子たちには無視され、男子たちからも口汚い言葉をかけられていた。わかっていたけれど、傍観していたボクも同罪だと思う。やがてYさんは転校してその後の人生は分からない。
もう一人Sくんという男子がいた。学年は忘れたけれど、4年生が5年生のときだったと思う。転校生だったSくんは無口で大人しく、休憩時間になっても一人で机に座っていた。最初は遊びに誘っていた生徒たちも、やがて諦めて無視するようになった。これもある種のいじめだと思う。
ボクはなんとなくSくんが気になって、積極的に話しかけた。一緒にグラウンドで遊ぼうと誘っても首を振る。だから短い休憩時間のときは、Sくんの机で無駄話をしていた。ようやく二人だけなら笑顔で会話できるようになったとき、再び彼は転校してしまった。ところがSくんに関しては後日談がある。
中学校2年生のとき、地元に大きなプールができた。波のプールや流水プールがある施設。いまは中学校になっているけれど。そのプールで遊んだ帰り道、ボクに声をかけてきた男子がいた。どう見てもタチの悪い不良で、ボクの友人たちは後ずさりして関わらないようにしていた。
ボクもちょっとビビったけれど、すぐに笑顔になった。それはSくんだった、ボクのことを覚えていてくれて、声をかけてくれたとのこと。机にかじりついて青白い顔をしていたSくんではない。おそらく数人がかかっても余裕で殴り倒してしまうほどの迫力があった。
しばらく二人で話して近況報告をした。転校先で元気にやっているようで、どうやら見た目に関わらず学力はトップクラスらしい。イカつい顔に浮かぶ瞳には、以前のSくんの面影があった。おそらく転校をきっかけにして、新しい自分になろうと決意したんだろう。
それから数年後に聞いた噂では、ある暴力団の構成員になったらしい。その原因として、いじめが影響したのかどうかわからない。ただ現在においても、いじめの被害者が登校しなくなったり転校するケースが多い。なのに加害者はいつものように学校に通っている。
こんな過去のことを思い出したのは、この記事を目にしたから。
いじめ加害者は出席停止にすべき? 改めて考えたい「最も大切な目的」とは
弁護士関連の記事なので、興味深い考察がされていた。ただ結論からすれば、小中学校の場合はいじめの加害者を停学にできない。義務教育なので、教育を受けさせる義務を放棄することになるから。
でも「出席停止」という措置は法律上可能とのこと。ただし適用要件がかなり厳しく、実質的に難しい。いまの学校ができるとしたら、学校の別室で自習させるという程度のことが限界らしい。
これは本当に難しい問題。社会人ならハラスメントとして加害者の責任を追及できる。小中学校におけるいじめ問題に対して、大人はどうすればいいんだろう?
その答えはなかなか見えない。
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