実の両親を探す理由に涙した
『そして父になる』という素晴らしい映画がある。福山雅治さんが主演した映画で、赤ちゃんの取り違いを扱った作品。フィクションだけれど、過去において子供の取り違いは実際に起きている。
実際の取り違いに関して書かれた記事を読んで、思わず涙ぐんでしまった。本当の両親を探す理由が、自分のためだけじゃなかったから。
父の暴力、14歳で家を飛び出した。赤ちゃんの時に取り違えられた男性が、生みの親を探す理由
取り違えられたのは江蔵さんという1958年生まれの男性。ボクと同世代と言っていい。江蔵さんの人生が紹介されているけれど、アルコール依存症の父の暴力に苦労されたらしい。親戚からもお前は両親に似ていない、と言われ続けてきた。
だけど実際に取り違いを知ったのは30歳のころ。江蔵さんの母親が体調を崩して検査したとき、自分の血液型が両親と適合していなかったことを知った。その7年後にDNA鑑定をして、両親と血縁上のつながりがないことがわかった。
江蔵さんが生まれたのは東京都立の病院。そこで2004年に訴訟を起こして、最終的に勝訴されている。だけど当初は東京都に課せられていた実の両親を探すことに関して、東京都はまったく措置を講じていない。生みの親を特定する調査を行わないのは人権侵害だとして、江蔵さんは再び東京都を提訴された。
もちろん江蔵さん自身も必死になって実の両親を探した。実の両親はどんな人で、兄弟がいるのかどうか。自分のルーツについて知りたいと思うのは当然のことだろう。ボクだって幼いころに生き別れた母親がどうしているのか知りたいと思うことがある。
必死で両親を探そうとする江蔵さんに対して、父親は「まだ探してんのか」とか、「今さら会ってどうするんだ」という理解のない言葉を投げかけたそう。それでも江蔵さんは探した。だけど見つかっていない。そこで義務を怠っている東京都を提訴した。
江蔵さんがそこまでするには、自分の両親に会いたいということだけが理由じゃない。彼の父がいないところで、母は江蔵さんに本音を話していた。
「(産んだ子の)顔だけでも見たいよ」
そりゃそうだよね。江蔵さんが実の両親に会いたいという想いと同じく、自分のお腹を痛めて産んだ実の子供に会いたいという母の願いは当然。江蔵さんの両親を探すことは、母の本当の子供を探すことでもある。
5年前に江蔵さんの父は他界されたそう。89歳になられた母親は認知症が進んで会話が困難になってきた。だからこそ江蔵さんは訴訟を起こした。「もう手遅れかもしれない。それでも、生きているうちに産んだ子どもにひと目でも会わせてあげたい」という必死の想い。
実の両親を求める江蔵さんの想い。本当の子供にひと目会いたいという母の願い。そしてその母を想う江蔵さんの優しさ。そのすべてを一気に感じてしまって、ボクは涙が止まらなかった。
東京都は「対応を検討中」というお役所的なコメントしか返していない。だけど江蔵さんのお母さんには時間がない。お願いだから親身になって、本気かつ全力で調査して欲しいと心から思う。
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