終わりが見えない辛さ
史実に基づく戦争映画を観ている場合、登場人物たちとボクたちとは決定的な差がある。それは『終わり』が見えているかどうか。
例えば第二次世界大戦の映画の場合、登場人物はその戦争がいつまで続くかわかっていない。観ているボクたちは1945年に終わることがわかっているから、主人公に感情移入しつつも、心のどこかで終点を把握している。だから主人公が窮地に陥っても、『終わり』という救世主の登場を確信できる。
そのうえ勝ち負けの結果まで知っているから、日本の戦国時代なら負け組に加担する武将に同情してしまう。それもこれも、『終わり』を知っているという視点だから感じられること。
ということは、未来人がいまのボクたちを観察すれば、あることの『終わり』を知っているはず。それは新型コロナ。
新型コロナのオミクロン株により、日本でも感染拡大の第6波に突入した。それを受けて2月に予定されていた3回目のワクチン接種、いわゆるブースター接種の前倒しが大阪や兵庫でも発表された。大阪市では2月中に高齢者のブースター接種を終了させる予定とのこと。
ただブースター接種に関して、リンク先の記事のようなことが公表されている。欧州連合(EU)の医薬品規制当局が、今月の11日に警告を発している。ブースター接種を頻繁にくり返すと、免疫系に悪影響を及ぼす恐れがあるとのこと。
4ヶ月ごとにブースター接種を行うことは避けるべきという見解。日本の今回のブースター接種は半年くらいあいているので、さほど気にする必要はないのかもしれない。この記事に関して、日本のある医師はTwitterでEUの発表について疑問を呈している。
といっても反論というよりは、まだわからないという雰囲気。だからこのEUの警告を完全否定しているものではない。そう考えると、ブースター接種に関してはある程度期間を取る方が安全なのかもしれないね。
イスラエルはすでに2回目のブースター接種を実施。つまり4回目のワクチン接種を行なっている。イギリスは2回目のブースターについては消極的。データを見直して検討するという段階。なぜこんなことが議論されるのかは歴然。
それは、新型コロナの『終わり』が見えないから。
ある専門家の記事によると、ウイルスの特性として変異をくり返しながらも、やがてインフルエンザのような段階に落ち着くということ。オミクロン株の場合、感染力は強いけれど重症化する人は少ない。といってもオミクロン株が『ラスボス』だとは考えれらないとのこと。
そうなるとこの先、変異株が登場するたびにブースター接種が検討されることになってしまう。だけど爆発的な感染力を見せたオミクロン株も、南アフリカでは収束を見せ、イギリスもピークアウトしたらしい。デルタ株に比べると、かなり大人しいのは事実のよう。
どちらにしても『ゼロコロナ』というのはあり得ない。インフルエンザのように、共存しながら1年に1度はワクチン対応していくというパターンになるんだと思う。でもボクたちはいまの世界の登場人物なので、『終わり』が見えない辛さにハマっている。
50年先くらいの未来人とコンタクトが取れたら、いつが『終わり』なのか教えてほしいよね。だけどまだ終わっていなかったら、かなりショックだけれど。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。