暴力を正当化する大義名分
日本に限らず世界の歴史において、大義名分ほど悪用されてきたものはない。戦争をするには理由がいる。そして徴兵する兵士たちにもモチベーションを与える必要がある。戦争の目的が特定の人物たちの利権や欲望であっても、それを公にはできない。
だから大義名分は捏造されてきた。過去の歴史においてもそうだったし、これからも起きるだろう。昨日、いくつか不安を覚える記事を見た。
ウクライナ国境に集結しているロシア軍。NATOの勢力がウクライナに及ぶことを恐れ、国境付近は一触即発の状況となっている。ロシアとアメリカが話し合いの場を設けることで、なんとか軍事的な暴発を防ごうとしている。ところが緊張はさらに強まっている。
リンク先の記事によると、ロシアは「偽旗作戦」を準備しているということ。おそらくCIAあたりがつかんだ情報なんだろう。「偽旗作戦」というのは、工作員を使って戦争の大義名分を作ること。
1931年に日本の満州にいた関東軍が「偽旗作戦」をやっている。南満州鉄道を爆破して中国の犯行だとした。それを大義名分にして満州占領を決行している。こうした行為は世界各地で行われていて、日本の戦国時代でもよくあった。
アメリカの情報筋によると、ロシアの工作員がウクライナに潜入。そしてロシアに味方している勢力地域を爆破することで、ロシア軍のウクライナ侵攻を正当化しようとしているらしい。今月の中旬から2月中旬にかけて作戦を決行して、その数週間後にロシア軍が侵攻するというシナリオ。
ロシアを牽制するための偽情報の可能性もあるけれど、プーチン政権なら本当にやりそうな気がする。とにかく大義名分があれば、侵攻することで西側諸国が経済制裁を発動しても抗議できる。
さらにこんな記事も目に止まった。
北京・冬季オリンピック直前のいま、記者たちが怯える「黒いウワサ」
まもなく開催される北京の冬季オリンピック。ただ中国の人権問題に対する抗議として、西側諸国が政治的ボイコットを実施しているという状況。純粋なスポーツ記者ならオリンピックだけを取材するだろう。だけど政治記者も入国することで、中国にとって都合の悪い人権問題を取り上げるかもしれない。
それを防ぐため、大義名分を設けて外国人記者を拘束するのでは? そんな危惧が記者たちの間で飛び交っているそう。過去においても、中国で行方不明となった記者が存在するとのこと。
困ったことにオミクロン株が中国へも侵入した。中国各地で市中感染が確認され、昨日の報道によるとオリンピックが開催される北京でも感染が確認されたらしい。もし感染拡大がオリンピックと重なってしまえば、何らかの措置を中国政府が取るだろう。
感染予防を大義名分として、中国政府にとって歓迎しない報道陣を拘束することができるかもしれない。いや、中国ならやるだろう。世界中のメディが中国に集まるわけだから、そのすべてが中国に好意的な記者たちとは限らない。ひそかにウイグル人弾圧を取材する目的の人がいるかも?
もしこれらの国が大義名分を主張し始めたら、それは国家レベルの暴力が起きる合図かもしれない。そうならないことを願うばかり。
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