食わず嫌いはアカンよね
ボクは基本的に食べ物の好き嫌いがない。小学校の給食なんか、毎日が楽しみで仕方なかった。小さいころは大食漢だったようで、幼稚園で支給されるサンドイッチの給食では足りなかったらしい。
それで何を思ったのか、ボクの母親は幼稚園に頼み込んで他の子供の倍の量を食べられるようにしてくれた。いまから思うと恥ずかしいけれど、言葉にできない母親の愛情を感じる。もしいまこの世のどこかで生きているのなら、そんな小さなことだけれど感謝の気持ちを伝えたい。
ただどうしても苦手な食べ物がある。それは『なれ鮨』と呼ばれている発酵食品。滋賀県の名産で『鮒寿司』という物がある。ボクはこれに関して言えば、完全な食わず嫌い。美味しいからと人に言われても、あの匂いに耐えられない。どうしても腐臭にしか感じず、おそらく一生口にすることがないと思う。
でも食わず嫌いは良くない。なぜなら、本当の価値は食べないとわからないから。食べ物じゃないけれど、映画でそのことを強く感じた。
2022年 映画＃19
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』（原題：Little Women）という2019年のアメリカ映画。有名な小説である『若草物語』を映画化した作品で、何度か映画化されているうちの最新作になる。
実はこの小説を読んだことがない。タイトルに気が向かず、なんとなく避けていた。まぁ適当なファミリードラマだろうと思っていた。まさに食わず嫌い。
だけどなんとなくこの映画が気になった。エマ・ワトソンが出ているのと、主人公のジョーを演じているシアーシャ・ローナンが気になったから。彼女の作品はいくつか観ているけれど、最近では『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』という作品に感動。すごい女優さんだと思った。
さらに二人の母親役でローラ・ダーンという好きな女優さんも出演している。そのうえ叔母役でメリル・ストリープも登場する。ということでこの４人の女優さんの共演が見たくて、食わず嫌いを打破することにした。
やっぱり食わず嫌いはアカンよね。最高に素晴らしい映画だった。なんて素敵な物語なんだろう。次女のジョーを語り手として、過去と未来がうまく編集されている。慣れないといつの時代のことなのかわからないけれど、この構成によって物語の魅力が数倍は増したと思う。
笑っちゃうくらい個性的な４姉妹。本当に素敵な人たちだった。時代は南北戦争時代のアメリカ。つまり『風と共に去りぬ』と同じ時代。当時の女性は、結婚することでしか人生のチャンスを見出せなかった。だから貧乏人と結婚すれば、生涯続くであろう苦労が待っている。エマ・ワトソンが演じた長女のメグは、まさに愛ゆえに苦労を背負ってしまう。
だけど次女のジョーは、『風と共に去りぬ』のスカーレットと似たところがある。異性に惹かれつつも、自分の力で生きていこうとする。スカーレットの場合は結婚願望の強さゆえ迎えた苦労だけれど、ジョーの場合は自分から望んで女性の自立を実現しようとしていた。そんな姿に共感したし、シアーシャ・ローナンの演技力の高さに思わず見とれてしまった。
ジョーは最高だったけれど、ボクのお気に入りは四女のエイミー。気が強くて猪突猛進なところが愛らしい。このエイミーを演じたフローレンス・ピューはいい女優さんだね。調べたらやっぱりボクのお気に入りであるイギリスの俳優さんだった、
こうなったら食わず嫌いを返上して、原作の『若草物語』を読むことにしよう。もう一度この４姉妹に会いたいから。だけどやっぱり『鮒寿司』は挑戦する気になれないなぁwww
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