真実を知るのが怖い
クレジットカードのフィッシングサイトに騙されたのが、ちょうど1週間前。4時間後にカードを止めて番号変更を申し込んだので、いまのところ被害は1件だけ。金額にして1万2千円ほどだけれど、カード会社との話が進行中。時間はかかるけれど、状況からして返金できるとのこと。
そして今日になって新しい番号のクレジットカードが届いた。ということで先ほどまでいろいろなサイトで変更手続きをしていた。通常使っているところは変更できたはず。あとはその都度確認して変更するしかないだろう。腹は立つけれど、いい勉強になった。さらにカード番号も一新できて、どことなく清々しい気持ちも感じている。災い転じて福となすだよね。
そんなこんなでバタバタしていたので、簡単な映画メモを書いておこう。簡単とは言いつつ、とても面白い作品だった。
2022年 映画#21
『ブレスレット 鏡の中の私』(原題:La fille au bracelet)という2020年のフランス・ベルギー合作映画。いわゆる裁判もの。被告は写真の女性。18歳のリーズで、17歳になる少し前に友人のフローラを殺した容疑で逮捕された。半年ほど拘置されたあと、右足首に監視用の装置を付けられて釈放。そして裁判に臨んでいた。
両親も娘の無実を訴えているし、リーズもやっていないと言い切っている。ところが状況証拠は彼女に不利。さらにフローラによって、リーズが映ってるポルノまがいの動画をネットにアップされていた。つまり彼女には殺人の動機もある。
最大の証拠は凶器の包丁。これはリーズ一家が使っている別荘にあったものとそっくり。そしてその1本が紛失している。冤罪の可能性が高いのに、リーズは肝心な部分では沈黙する。それゆえこのまま懲役15年の刑になるという状況だった。
ところが不明だった包丁が見つかる。幼い弟がこっそりと隠していた。ということでリーズを有罪にする証拠がない。さらに結審前に、リーズがようやく親友だったフローラについて涙ながらに語った想いが陪審員を動かす。結果として彼女は無罪になった。
証言の段階で、16歳のリーズの奔放な性が明かされてしまう。不特定の男性と関係を持ったり、被害者のフローラともレズビアンの関係だった。この段階でボクは心のどこかで感じていた。彼女が犯人だと。映画としてはそう思わせないような構成になっている。
ラストシーンで無罪を告げられた彼女が、足の追跡装置を外される。あぁ、やっぱりボクの思い過ごしかと思った。ところが次のシーンで無言のメッセージが。
リーズは立ち止まると、首にかかっているネックレスを外した。そして先ほどまで追跡装置が付いていた右足首にそのネックレスを巻き付ける。これは彼女自身の有罪告白ではないだろうか?
だとすると、めちゃ怖い映画になる。ひたすらフローラとの親友を演じ、彼女の殺害に関与していないと思わせている。もしかしたら包丁もわざとやったことかもしれない。だけど映画ではそれ以上語られることがない。皆さんで想像してください、というエンディグになっている。
大人に見せないティーンの実態を描きつつ、家族との絆や友情を描いた物語かもしれない。その一方で、無罪を勝ち取ったサイコパス殺人鬼の映画としても楽しめる。どちらの視点で見るかによって、この映画の印象は大きく変わると思う。なかなかの秀作だった。
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