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高羽そらさんインタビュー

中年だからわかる青春映画

ボクが青春時代に真っ只中にいたときは、いわゆる青春映画というジャンルの作品をよく観た。映画の舞台となる時代は様々でも、制作された時点の世代に向けた作品なので、登場人物たちに共感できるから。

 

印象に残っている作品としては、『アメリカン・グラフティ』や『グリース』がある。ということは現代の若い世代に向けた青春映画も作られているはず。すっかり中年から高齢者に移行しつつあるボクにとって、さすがに新しい作品では主人公たちの感覚に共感できないだろう。

 

だから覗き見をするような気持ちで、ある青春映画を観た。10年ほど前の作品だけれど、覗き見というのはボクの思い込みだった。中年を過ごした人間だからこそわかるという、とても奥の深い作品だった。

 

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2022年 映画#52

『ウォールフラワー』(原題: The Perks of Being a Wallflower)という2012年のアメリカ映画。この映画を観ようと思ったのは、写真のエマ・ワトソンが目的。最近彼女の作品を観ることが多く、女優としての才能に惹かれている。最新作の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などは、ハリーポッターで彼女が演じたハーマイオニーの印象が完全に払拭された。

 

この作品も同じで、彼女が演じたサムという女性はハマり役だったと思う。主人公はチャーリーという高校1年生。親友を自殺で亡くすというトラウマを抱えていて、悲惨な中学生活を送っていたらしい。ところが高校に入っても同じで、誰一人友達ができない。

 

チャーリーには彼にまとわりついた影がある。彼が愛していた叔母のヘレンのフラッシュバックが何度も出てくる。ヘレンは交通事故死していて、チャーリーのトラウマの原因は親友の自殺だけではないと感じさせる。精神科の病人に入院していたこともあり、孤独な高校生活を送っていた。

 

先に結論を書いておくと、少年時代のチャーリーは叔母のヘレンから性的虐待を受けていた。彼のトラウマの元凶はそこにあった。「二人だけの秘密よ」という言葉が、彼の高校生活においてもフラッシュバックのように何度も登場する。

 

そんなチャーリーだけれど、あることがきっかけでパトリックという最上級生の男子生徒と知り合う。少し変わり者のパトリックだけれど、チャーリーに親切にしてくれた。彼には両親が再婚したことでサムという義理の妹がいた。チャーリーはパトリックとサムと過ごすことで、ようやく自分の居場所を見つける。

 

やがてチャーリーは、パトリックたち最上級生の仲間にも迎え入れられ、それなりに幸せな高校生活を送ることができた。サムのことが好きだけれど、彼女には恋人がいる。だけどサムと一緒にいるだけで幸せなチャーリーは、それ以上を望もうとしなかった。

 

様々な出来事があって、やがて最上級生たちは卒業する。つまりチャーリーは再び一人ぼっちになってしまう。チャーリーが勉強を教えたことで、サムは大学に進むことができた。パトリックはゲイでいろいろな問題を抱えていたけれど、高校を卒業してもチャーリーを気づかってくれている。

 

ラストシーンは3人が以前と変わらず過ごしているシーンで終わる。サムは恋人と別れ、チャーリーのことを愛していると告白した。二人はうまくいくように見えるけれど、遠距離恋愛だからどうなるかわからない。

 

つまり中年世代から見れば、この3人の関係がどれほど不安定なものなのかわかる。このあたりの描写がうまい。ハッピーエンドのように見えるけれど、人生はそうもいかないことが多い。高校や大学時代の友人たちと、中年になっても同じように交際している人はあまりいないと思う。

 

そんな人生の諸行無常感を、どことなく感じさせる物語だった。これはこの世代のど真ん中にいる人たちには、実感が持てない感覚だろうと思う。そういう意味では、中年向けの青春映画のような作品だった。ということで気になったので、さっそく原作を読むことにした。

 

この映画の監督は、原作の著者が務めている。だから原作を読めば、さらにこの物語の世界観を深く理解できるような気がしている。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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