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高羽そらさんインタビュー

影であることからの逸脱

戦国時代オタクのボクなので、以前からタイトルだけ知っている物語があった。ただ忍者が主人公なので、ボクが好きな戦国武将たちは脇役になる。それゆえ司馬遼太郎さんの小説だけれど手にしたことがなかった。ただ少し気になっていたのは事実。

 

そこでまずは映画を観ることにした。調べてみると過去に2度映画化されている。そのうち新しいほうの作品は中井貴一さんが主演している。『壬生義士伝』で彼の見事な殺陣を見て感動したことがある。ということで中井さんが主演している作品をチョイスした。

 

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2022年 映画#55

『梟の城 owl’s castle』という1999年の日本映画。豊臣秀吉の命を狙う伊賀忍者を主人公にした物語。もう23年も前の作品なので、中井貴一さんが写真のように若い。共演している鶴田真由さんも、そしてこの写真の火野正平さんも同じく若い。

 

さらに懐かしい俳優さんが登場するので、ストーリーよりもその方に気がとられてしまった。山本學さんの姿も久しぶりだったし、何より懐かしかったのは葉月里緒奈さん。みんな若いと思いつつ、自分が歳を取っていることを忘れていたwww

 

伊賀忍者の里が織田信長によって壊滅させられたのは有名。それほど信長は忍びの集団を警戒していたのだろう。映画の冒頭はそんな殺戮シーンから始まる。そして10年という期間が経過して、すでに豊臣秀吉の天下となっていた。

 

中井貴一さんが演じるのは、伊賀忍者の生き残りである葛籠重蔵。徳川家康が秀吉の暗殺を命令したことで、信長に恨みを持つ伊賀忍者にその仕事が依頼されることになった。信長に対する仇討ちではないので、このあたりはちょっと無理がある。

 

葛籠重蔵としては、親友である風間五平を味方につけたかった。だけど五平は名前を変えて前田玄以という秀吉の奉行の家臣となっていた。忍者として影で働いていた生活に嫌気がさし、陽の当たる武士として認められたかったから。だから秀吉の命を狙う重蔵とは敵同士となってしまう。

 

ところが秀吉に後継の秀頼が生まれたことで、家康は方針を転換。暗殺命令を撤回してしまう。ところが五平や甲賀忍者に仲間を殺された重蔵としては納得できない。そこでたった一人で秀吉の命を狙うという展開。

 

当然ながら秀吉は歴史的に病死しているので、暗殺に成功しない。本当は殺せたけれど、重蔵は秀吉との会話で暗殺を実行しなかった。天下取りであるはずの秀吉でさえ、運命に翻弄されて自分が何者かわからないと嘆いていた。結局は自分たち忍びと同じだと気づいた重蔵は、秀吉を殺さずにその場を去る。

 

彼としては影として命令された仕事ではなく、自分の意志としてその場までやってきことで満足だったのだろう。他人の手足として動いたのではなく、自分として行動したから。だから彼はその後に鶴田真由さん演じる小萩と穏やかな暮らしを選んだのだと思う。

 

一方対照的な五平の運命は悲惨だった。武士として名を挙げたいばかりに、重蔵を捕らえようとした。だけど失敗して自分が囚われてしまう。そしてなんと石川五右衛門として死刑されてしまうというラスト。その五平を演じたのは上川隆也さん。

 

影であることから逸脱しようした二人の運命が対照的に描かれている。その観点から見えれば面白い作品だった。ただちょっと残念なのは、中井貴一さんと上川隆也さんのイメージが忍者と合致しなかったこと。二人ともどちらかといえば真面目なキャラ。だから影で働く忍者というイメージがあまり合わなかったような気がした。

 

せっかく映画を観たので、機会があれば原作も読んでみようと思う。そうすればもう少し彼らのことが理解できるかもしれない。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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