全く感想が出てこない作品
ある映画の感想を書こうとしたのに、これほど何も出てこないことは珍しい。いわゆるロマンティックコメディ作品で、笑いながら最後まで観ることはできた。だけど主人公を含めて現実味のない人物ばかりで、感情移入がどうのこうのという以前の段階で終わってしまった。
2022年 映画#74
『ワタシが私を見つけるまで』(原題:How to Be Single)という2016年のアメリカ映画。主演のダコタ・ジョンソンはメラニー・グリフィスの娘で、ボクは『フィフティ・シェイズ』シリーズの3部作でいい女優さんだと思って注目していた。
もう一人写真に映っている太めのレベル・ウィルソンも、コメディにピッタリの女優さんだと感じていた。最近観た『ピッチ・パーフェクト』は感動作だったし、アン・ハサウェイと共演した『ザ・ハッスル』もかなり面白かった。
この二人だから期待したんだけれど、はっきり言ってイマイチの作品だった。ダコタ・ジョンソン演じるアリスは恋愛依存症。つまり独り立ちできず、誰かに恋していないと不安で仕方ない。そんな彼女が様々な男性とトラブルを起こし、最終的にひとりでいることにようやく向き合えるという結末。
そいう意味ではラストは良かったけれど、そこに至る過程にどうも本気で乗り切れない。なぜかと考えていると、登場人物に生活感がなさすぎるから。恋愛にばかりフォーカスされていて、彼女たちの仕事をしている姿が見えない。ニューヨークで暮らしているんだから、働かないと生きていけないはず。
法律事務所の事務補助という仕事なんだけれど、仕事で苦労したりスキルアップしようという姿がまったく描かれていない。だから本当に生きている人間としてリアルに感じられずに最後まで進んでしまったという印象。人間って恋愛のドタバタだけで生きているわけじゃないからね。
ところがこの作品は原作がある。こんな小説で面白いのかな? と思って調べてみた。するとまったくストーリーはちがって、登場人物たちはまさにニューヨークで生きている。本を読んだ人の感想をいくつか見たけれど、映画の100倍は面白いとのこと。
ということで映画は残念だったけれど、せっかくの出会いだから原作を読んでみようと思う。もしかしたらこの作品のちがった面を発見できるかもしれないからね。ちなみにこの映画でひとつだけよかったところがある。
『マイ・インターン』という映画で、アン・ハサウェイの夫を演じたアンダーズ・ホームという俳優さんがいる。人のいい優しい雰囲気で、ちょっと気の弱い浮気者の役だった。その彼が、この映画ではカッコいいバーテン役を演じていた。
よく見たらかなり二枚目で、『マイ・インターン』では役作りをしていたんだとわかった。アウトロー的な役もできそうなので、ちがう演技を観たいと思う俳優さんだった。メチャ悪役でサイコパスの彼を観てみたいなぁ。
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