Netflixのライバルは変動費
いまや世界的にサブスクがデフォルトになりつつある。ボクもそんな影響を受け、Apple MusicとAmazonプライムを利用している。ただそんなサブスクの牽引役だったNetflixが苦境に陥っている。そのライバルは意外なものだった。
Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?
これまで右肩上がりの成長を続けてきたNetflixが、今年になって過去10年間で初めて加入者数が減少した。さらに次の四半期で大幅に会員数が減るという見込みが報告された。これを受けて株価が大暴落。
昨年の11月には700ドルだった株価が、直近では200ドルを割り込んだ。この半年で70%も下落している。配信している映画の種類が多いことで知られているNetflix。アカデミー賞でもNetflix限定の作品が受賞するようになった。
ところが競争は激しい。今年のアカデミー賞の作品賞はApple TV限定で配信された作品だった。Amazonも負けずにオリジナル作品を制作していて、ボクが心待ちにしているのが『ロード・オブ・ザ・リング』のドラマ版。少なくともNetflixが一人勝ちする時代ではなくなった。
でも加入者の減少に伴う株価の下落は、そんな同じ業界のライバルが理由ではないらしい。影響が大きいのはロシアによるウクライナへの侵攻。当然ながらロシアの加入者が排除されてしまう形になった。だけどこれは他のサブスクも同じ。だけどNetflixは本家本元のアメリカで加入者が減っている。
それは戦争をきっかけとしたインフレの影響だと見られている。ロシアの暴挙によってガソリン代や光熱費が高騰してきた。ところが間の悪いことに、ここのところNetflixは値上げを断行してきた。これがどうも影響しているらしい。
つまりNetflixの意外なライバルは『変動費』だったということ。
ボクのような経理の仕事をしていた人間なら、感覚として理解できると思う。企業の財務分析をする場合、固定費と変動費の比率を考える。それは家計でも同じこと。不思議なもので変動費が上昇すると、急に固定費が気になってくる。変わらない数字だけに、かえって目立ってしまう。
節約しなきゃという気持ちになったとき、ガソリン代や光熱費を減らすことは難しい。必要なものは必要だから。そうなってくるとNetflixのような固定費が目についてしまう。そのうえ値上げをしたことで、もうやめてしまえ、という雰囲気になりやすいのだろう。
サブスクというのは典型的な固定費。それだけに元を取れないと感じるようになったら厳しい。例えばAmazonプライムなら、限定されているけれど映画だけでなく本だって無料で読める。会員限定の商品やセールがあったり、送料がかからないという特典がある。
だけどNetflixは動画の配信だけ。こうなってくると、Amazonでいいやと考える人はNetflixを切ることになるだろう。新作映画は映画館に行けばいいという雰囲気になってしまう。そう考えると、Netflixの未来は厳しいかも。
もちろんAmazonだって、Unlimitedに加入している人が普通のプライム会員に戻る可能性が高い。変動費の増加に対応するなら、ある程度妥協するしかない。そうなると追加料金的に感じるサブスクは削られてしまうだろう。まぁ、サブスクも淘汰の時代に入ったのかもしれないなぁ。
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